聖書の言葉 43:4 こうして、私は神の祭壇に、私の最も喜びとする神の御許(みもと)に行き、竪琴に合わせて、あなたをほめたたえます。神よ、私の神よ。詩編 43章4節 メッセージ ここ暫く、私たちは人の生きる目的について聖書から学び、前回から、人の生きる目的の二つ目として、「神を喜ぶ」ということを学び始めました。 詩篇43:4で、古代イスラエルの一人の信仰者は、辛い苦難と試練の中、神信仰に立ってこう歌いました。「こうして、私は神の祭壇に、私の最も喜びとする神の御許(みもと)に行き、竪琴に合わせて、あなたをほめたたえます。神よ、私の神よ。」 彼は悪い人たちからとても苦しめられ、大変辛く厳しい状況にありました。彼は神を慕い求めて呻き、その魂は渇き、人間的にはもう限界と言えるギリギリのところまで追い詰められていました。 けれども、彼は倒れず、潰されませんでした。5節では「わが魂よ。なぜお前はうなだれているのか。なぜ、私の内で思い乱れているのか。神を待ち望め。私はなおも神をほめ称える。私の救い、私の神を」と、彼はしっかり自分に語りかけ、自分に尋ね、自分について自分と論じ、自分に命じたのでした。 この詩篇の最初の方では、痛々しい感じでしたが、彼は周囲の状況に自分が振り回されることを許しませんでした。彼は決して鋼のような強い人ではありません。涙も流せば、人知れず呻きも漏らします。彼は一人の弱い人でしかありません。 それにも関わらず、彼はこんな状況でも自分を失わず、信仰に立って自分に語りかけます。そうして自分を変えられ、徐々に試練を乗り越えて行きます。詩篇43はこういうことを私たちに教えます。 では、何が彼にこういうことを可能とさせたのでしょうか。その答の一つが4節に見られます。すなわち、神ご自身が彼の喜びだったことです。この人の信仰は、神を喜ぶことができるところまで高められていたのでした。 繰り返します。彼は決して完全な信仰者ではありません。しかし、神を自分の喜びとするところまで、余分なものが削ぎ落され、高められていたのでした。 もし彼が、事業や仕事が順調なこととか、健康に恵まれ、家庭も円満で、好きなことも沢山行えるなど、神の下さる良いことだけを喜ぶ人であるなら、それらが与えられない今、彼は苦難と人への恐れ、将来への心配と不安、神への疑問と不満、苛立ちのために混乱し、信仰も失っていたかも知れません。 しかし、彼は違いました。神からの祝福は求めるけれど、神ご自身を求めることや神ご自身を喜ぶことを知らない、という人ではありませんでした。彼は、神が神であられる故に、すなわち、その存在と知恵、力、聖、義、善あるいは慈しみ、そして真実において、無限、永遠、不変のお方であり、そういう方が彼を愛して下さっている故に、天地万物の造り主なる唯一の生ける真(まこと)の神ご自身が彼の最高の喜びでした。そういう信仰の高みと本質にまで彼は至っていました。ですから、普通では耐えられないような辛く重い試練に見舞われ、多くのものを失い、この世が総力を上げて襲っても、彼には決して奪い去ることのできない喜びが残っており、その喜びや感謝が彼を見事に支えたのでした。 健康は失われるかも知れません。彼を取り巻く人々の心は変り、彼への評価も彼への愛や関心も冷めるかも知れません。しかし彼には、今や何を失い、何を奪われようとも、それどころか、この世そのものがなくなっても、決して失われず、奪い去られることのない喜びがありました。そうです!彼を造り、彼を限りなく愛し、救いの信仰を与えて下さった神ご自身!彼を無限、永遠、不変の愛をもって愛し、永遠に担い、背負い、持ち運び、ご一緒に永遠に生きて下さる主ご自身が、彼の喜びでした!ですから、彼は強いのでした。 初めはキリスト教とクリスチャンを猛烈に迫害し、しかし、のちに劇的な回心をして救い主イエス・キリストを信じるようになったパウロも、この詩篇作者同様、神の下さる祝福だけでなく、永遠者、絶対者にして、限りなく愛と憐れみに満ちておられる神ご自身を喜ぶことのできた人でした。ローマ5:11で「私たちの主イエス・キリストによって、私たちは神を喜んでいます」と語っています。そういうパウロでしたので、Ⅱコリント4:8以降ではこのように言えました。「私たちは四方八方から苦しめられますが、窮することはありません。途方に暮れますが、行き詰ることはありません。迫害されますが、見捨てられることはありません。倒されますが、滅びません。」 こうして見て来ますと、神の栄光を現すということも人間として尊い誠に、しかも大切な目的ですが、色々楽しいものを超えて全ての善きものの源であられる永遠の神ご自身を喜ぶというこの目的も、何と素晴らしく感謝なものでしょう。こういう目的と意識をしっかり持って毎日を生きている人ほど、試練や逆境の中でも強い人はいないのではないでしょうか。 今日は時間がなくなりました。次回、最後のお話をさせて頂きたいと思います。 関連する説教を探す 2025年の祈祷会 『詩編』
ここ暫く、私たちは人の生きる目的について聖書から学び、前回から、人の生きる目的の二つ目として、「神を喜ぶ」ということを学び始めました。
詩篇43:4で、古代イスラエルの一人の信仰者は、辛い苦難と試練の中、神信仰に立ってこう歌いました。「こうして、私は神の祭壇に、私の最も喜びとする神の御許(みもと)に行き、竪琴に合わせて、あなたをほめたたえます。神よ、私の神よ。」
彼は悪い人たちからとても苦しめられ、大変辛く厳しい状況にありました。彼は神を慕い求めて呻き、その魂は渇き、人間的にはもう限界と言えるギリギリのところまで追い詰められていました。
けれども、彼は倒れず、潰されませんでした。5節では「わが魂よ。なぜお前はうなだれているのか。なぜ、私の内で思い乱れているのか。神を待ち望め。私はなおも神をほめ称える。私の救い、私の神を」と、彼はしっかり自分に語りかけ、自分に尋ね、自分について自分と論じ、自分に命じたのでした。
この詩篇の最初の方では、痛々しい感じでしたが、彼は周囲の状況に自分が振り回されることを許しませんでした。彼は決して鋼のような強い人ではありません。涙も流せば、人知れず呻きも漏らします。彼は一人の弱い人でしかありません。
それにも関わらず、彼はこんな状況でも自分を失わず、信仰に立って自分に語りかけます。そうして自分を変えられ、徐々に試練を乗り越えて行きます。詩篇43はこういうことを私たちに教えます。
では、何が彼にこういうことを可能とさせたのでしょうか。その答の一つが4節に見られます。すなわち、神ご自身が彼の喜びだったことです。この人の信仰は、神を喜ぶことができるところまで高められていたのでした。
繰り返します。彼は決して完全な信仰者ではありません。しかし、神を自分の喜びとするところまで、余分なものが削ぎ落され、高められていたのでした。
もし彼が、事業や仕事が順調なこととか、健康に恵まれ、家庭も円満で、好きなことも沢山行えるなど、神の下さる良いことだけを喜ぶ人であるなら、それらが与えられない今、彼は苦難と人への恐れ、将来への心配と不安、神への疑問と不満、苛立ちのために混乱し、信仰も失っていたかも知れません。
しかし、彼は違いました。神からの祝福は求めるけれど、神ご自身を求めることや神ご自身を喜ぶことを知らない、という人ではありませんでした。彼は、神が神であられる故に、すなわち、その存在と知恵、力、聖、義、善あるいは慈しみ、そして真実において、無限、永遠、不変のお方であり、そういう方が彼を愛して下さっている故に、天地万物の造り主なる唯一の生ける真(まこと)の神ご自身が彼の最高の喜びでした。そういう信仰の高みと本質にまで彼は至っていました。ですから、普通では耐えられないような辛く重い試練に見舞われ、多くのものを失い、この世が総力を上げて襲っても、彼には決して奪い去ることのできない喜びが残っており、その喜びや感謝が彼を見事に支えたのでした。
健康は失われるかも知れません。彼を取り巻く人々の心は変り、彼への評価も彼への愛や関心も冷めるかも知れません。しかし彼には、今や何を失い、何を奪われようとも、それどころか、この世そのものがなくなっても、決して失われず、奪い去られることのない喜びがありました。そうです!彼を造り、彼を限りなく愛し、救いの信仰を与えて下さった神ご自身!彼を無限、永遠、不変の愛をもって愛し、永遠に担い、背負い、持ち運び、ご一緒に永遠に生きて下さる主ご自身が、彼の喜びでした!ですから、彼は強いのでした。
初めはキリスト教とクリスチャンを猛烈に迫害し、しかし、のちに劇的な回心をして救い主イエス・キリストを信じるようになったパウロも、この詩篇作者同様、神の下さる祝福だけでなく、永遠者、絶対者にして、限りなく愛と憐れみに満ちておられる神ご自身を喜ぶことのできた人でした。ローマ5:11で「私たちの主イエス・キリストによって、私たちは神を喜んでいます」と語っています。そういうパウロでしたので、Ⅱコリント4:8以降ではこのように言えました。「私たちは四方八方から苦しめられますが、窮することはありません。途方に暮れますが、行き詰ることはありません。迫害されますが、見捨てられることはありません。倒されますが、滅びません。」
こうして見て来ますと、神の栄光を現すということも人間として尊い誠に、しかも大切な目的ですが、色々楽しいものを超えて全ての善きものの源であられる永遠の神ご自身を喜ぶというこの目的も、何と素晴らしく感謝なものでしょう。こういう目的と意識をしっかり持って毎日を生きている人ほど、試練や逆境の中でも強い人はいないのではないでしょうか。
今日は時間がなくなりました。次回、最後のお話をさせて頂きたいと思います。