エジプトの宰相となったヨセフ 2013年10月27日(日曜 夕方の礼拝)

問い合わせ

日本キリスト改革派 羽生栄光教会のホームページへ戻る

エジプトの宰相となったヨセフ

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
創世記 41章37節~57節

聖句のアイコン聖書の言葉

41:37 ファラオと家来たちは皆、ヨセフの言葉に感心した。
41:38 ファラオは家来たちに、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言い、
41:39 ヨセフの方を向いてファラオは言った。「神がそういうことをみな示されたからには、お前ほど聡明で知恵のある者は、ほかにはいないであろう。
41:40 お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。ただ王位にあるということでだけ、わたしはお前の上に立つ。」
41:41 ファラオはヨセフに向かって、「見よ、わたしは今、お前をエジプト全国の上に立てる」と言い、
41:42 印章のついた指輪を自分の指からはずしてヨセフの指にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の首飾りをヨセフの首にかけた。
41:43 ヨセフを王の第二の車に乗せると、人々はヨセフの前で、「アブレク(敬礼)」と叫んだ。ファラオはこうして、ヨセフをエジプト全国の上に立て、
41:44 ヨセフに言った。「わたしはファラオである。お前の許しなしには、このエジプト全国で、だれも、手足を上げてはならない。」
41:45 ファラオは更に、ヨセフにツァフェナト・パネアという名を与え、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトを妻として与えた。ヨセフの威光はこうして、エジプトの国にあまねく及んだ。
41:46 ヨセフは、エジプトの王ファラオの前に立ったとき三十歳であった。ヨセフはファラオの前をたって、エジプト全国を巡回した。
41:47 豊作の七年の間、大地は豊かな実りに満ち溢れた。
41:48 ヨセフはその七年の間に、エジプトの国中の食糧をできるかぎり集め、その食糧を町々に蓄えさせた。町の周囲の畑にできた食糧を、その町の中に蓄えさせたのである。
41:49 ヨセフは、海辺の砂ほども多くの穀物を蓄え、ついに量りきれなくなったので、量るのをやめた。
41:50 飢饉の年がやって来る前に、ヨセフに二人の息子が生まれた。この子供を産んだのは、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトである。
41:51 ヨセフは長男をマナセ(忘れさせる)と名付けて言った。「神が、わたしの苦労と父の家のことをすべて忘れさせてくださった。」
41:52 また、次男をエフライム(増やす)と名付けて言った。「神は、悩みの地で、わたしに子孫を増やしてくださった。」
41:53 エジプトの国に七年間の大豊作が終わると、
41:54 ヨセフが言ったとおり、七年の飢饉が始まった。その飢饉はすべての国々を襲ったが、エジプトには、全国どこにでも食物があった。
41:55 やがて、エジプト全国にも飢饉が広がり、民がファラオに食物を叫び求めた。ファラオはすべてのエジプト人に、「ヨセフのもとに行って、ヨセフの言うとおりにせよ」と命じた。
41:56 飢饉は世界各地に及んだ。ヨセフはすべての穀倉を開いてエジプト人に穀物を売ったが、エジプトの国の飢饉は激しくなっていった。
41:57 また、世界各地の人々も、穀物を買いにエジプトのヨセフのもとにやって来るようになった。世界各地の飢饉も激しくなったからである。創世記 41章37節~57節

原稿のアイコンメッセージ

 前回私たちは、ヨセフがファラオの夢を解き明かしたこと、さらには、ヨセフがファラオに進言したことを学びました。ファラオの夢は七年の大豊作の後に、七年の大飢饉が来るという夢でありましたが、その大飢饉への対策として、ヨセフはファラオに次のように進言するのです。33節から。「このような次第ですから、ファラオは今すぐ聡明で知恵のある人物をお見つけになって、エジプトの国を治めさせ、また、国中に監督官をお立てになり、豊作の七年の間、エジプトの国の産物の五分の一を徴収なさいますように。このようにして、これから訪れる豊年の間に食糧をできるかぎり集めさせ、町々の食糧となる穀物をファラオの管理の下に蓄え、保管させるのです。そうすれば、その食糧がエジプトの国を襲う七年の飢饉に対する国の備蓄となり、飢饉によって国が滅びることはなでしょう」。ファラオと家来たちは皆、このヨセフの言葉に感心しました。ファラオは家来たちに、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言いましたが、ファラオは多神教の国エジプトの王でありますから、厳密に言えば、ここでの「神」はアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神ではありません。しかし、ファラオは適格にもヨセフに神の霊が宿っていることを言い表したのです。そして、これは、16節の「神がファラオの幸いについて告げられるのです」というヨセフの言葉と対応しているわけであります。ファラオは、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言うことによって、ヨセフの解き明かしが神のお告げであることを認めたのです。続けて、ファラオはヨセフにこう言いました。「神がそういうことをみな示されたからには、お前ほど聡明で知恵のあるものは、ほかにいないであろう。お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。ただ王位にあるということだけで、わたしはお前の上に立つ」。ここで、ファラオは、「神がそういうことをみな示されたからには、お前ほど聡明で知恵のあるものは、ほかにいないであろう」と言っていますが、これはエジプト中の魔術師と賢者がだれもファラオの夢を解き明かすことができなかったことと関係しています。エジプト中の魔術師と賢者はだれもファラオの夢を解き明かすことはできませんでした。しかし、ヨセフはファラオの夢を解き明かすことができたのです。そのことは、ヨセフほど聡明で知恵のある者はいないことを現しているのです。これまでヨセフは、侍従長ポティファルの家を管理し、さらには監獄を管理してきましたが、ここでヨセフはエジプト全体を管理する者として任命されるのです。ヨセフはファラオによって、エジプトの宰相、総理大臣に任命されるのであります。41節から44節には、ヨセフがエジプトの総理大臣に就任したときの様子が記されています。ファラオはヨセフに向かって、「見よ、わたしは今、お前をエジプト全国の上に立てる」と言い、印章のついた指輪を自分の指からはずしてヨセフの夢にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の首飾りをヨセフの首にかけました。こうして、ヨセフはファラオから全権を委ねられたのです。昔、父ヤコブはヨセフに裾の長い晴れ着を作ってやりましたけれども、ヨセフはファラオから上等の亜麻布の衣服を着せられるのです。ファラオがヨセフを自分の次の地位を表す第二の車に乗せると、人々はヨセフの前で、「アブレク(敬礼)」と叫びました。そして、人々の前でファラオはヨセフに、「わたしはファラオである。お前の許しなしには、このエジプト全国で、だれも、手足を上げてはならない」と言い、ヨセフをエジプト全国の上に立てたのであります。

 ファラオはヨセフに、ツァフェナト・パネアというエジプトの名を与えました。「ツァフェナト・パネア」とは、「神は語り、彼は生きる」という意味であります。また、ファラオは更に、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトを妻として与えました。「オン」は地名で、太陽礼拝の中心地でありました。ですから、ここでの祭司はエジプトの神々に仕える祭司であります。このようにしてヨセフはエジプト人となるのです。ヨセフはファラオからエジプトの名を与えられ、エジプトの祭司の娘を妻として与えられるという栄誉にあずかり、彼の威光はエジプトの国にあまねく及んだのです。ヨセフが、エジプトの王ファラオの前に立ったとき30歳でありました。カナンの地からエジプトに連れて来られたのが、17歳の時でありましたから、それから13年経っていることになります。ヨセフは弱冠30歳で、大国エジプトの宰相となるのです。そして、このようなファラオの期待に応えるべき、ヨセフはエジプト全国を巡回したのでありました。ここでもヨセフは忠実にファラオに仕えております。それは、ヨセフがファラオを立てているのが神さまであることを知っていたからです。ヨセフは、ファラオを通して、神さまが自分をエジプトの総理大臣にしてくださったことを知っていたがゆえに、神さまに仕えるように、ファラオに仕えたのです。

 ヨセフが言っていたとおり、豊作の七年の間、大地は豊かな実りに満ち溢れました。ヨセフはその七年の間に、エジプトの国中の食糧をできるかぎり集め、その食糧を町々に蓄えさせました。ヨセフは、海辺の砂ほども多くの穀物を蓄え、ついには量りきれなくなったので、量るのをやめたほどでありました。

 飢饉の年がやって来る前に、ヨセフに二人の息子が生まれました。この子供を産んだのはオンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトでありました。ここには書いてありませんが、アセナトはどうやら双子を産んだようであります。ヨセフは長男をマナセ(忘れさせる)と名付けて言いました。「神が、わたしの苦労と父の家のことをすべて忘れさせてくださった」。ここでの神はエジプトの神々ではなく、ヨセフと共にいてくださる主、ヤハウェであります。ヨセフは、エジプト人の名前を与えられ、オンの祭司の娘を妻として与えられ、すっかりエジプト人となっておりましたが、ヨセフは主なる神さまへの信仰を持ち続けていたのです。その証拠に、ヨセフは息子たちにヘブライ人の名前を付けるのです。ヨセフは長男をマナセ(忘れさせる)と名付けて、「神が、わたしの苦労と父の家のことをすべて忘れさせてくださった」と語りました。ヨセフは子供を与えられ、父親となり、自分の家庭を築くことができて初めて、このように語ることができるようになったのです。神さまがヨセフの労苦に報いてくださり、新しい家族を与えてくださることによって、ヨセフに、これまでの労苦と父の家のことをすべて忘れさせてくださったのです。それほどまでに、子供の誕生はヨセフに大きな喜びをもたらしたのであります。

 また、ヨセフは次男をエフライム(増やす)と名付けてこう言いました。「神は、悩みの地で、わたしに子孫を増やしてくださった」。ヨセフにとって、エジプトは無理やり連れて来られた悩みの地でありました。しかし、そのような悩みの地においても、神さまはヨセフの子孫を増やしてくださったのです。かつて、神さまはアブラハムに、「あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やす」と約束されましたが、その神さまの約束の実現をヨセフは次男の誕生に見て取ったのです。

 エジプトの国に七年間の大豊作が終わると、ヨセフが言っていたとおり、七年の飢饉が始まりました。エジプト全国に飢饉が広がり、民がファラオに食物を叫び求めると、ファラオはすべてのエジプト人に、「ヨセフのもとに行って、ヨセフの言うとおりにせよ」と命じました。ヨセフはすべての穀倉を開いてエジプト人に穀物を売りました。また、他の国々をも飢饉が襲ったため、世界各地の人々も、穀物を買いにエジプトのヨセフのもとにやって来るようになりました。それほど、世界各地の飢饉も激しくなっていたのです。そして、この飢饉がきっかけとなって、かつてヨセフをイシュマエル人に売った兄たちが、エジプトにいるヨセフのもとを訪れることになるのです。ヨセフは、「神が、わたしの苦労と父の家のことをすべて忘れさせてくださった」と言いましたけれども、しかし、ヨセフは兄たちと再会することによって、父の家と向き合うことになるのです。そして、そこには人間には計り知ることのできない神さまのご計画、導きがあるのです。私たちは、その神さまのご計画、導きにいつも心を開いている者でありたいと願います。

関連する説教を探す関連する説教を探す