イサクとリベカの結婚 2012年11月18日(日曜 夕方の礼拝)

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イサクとリベカの結婚

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
創世記 24章28節~67節

聖句のアイコン聖書の言葉

24:28 娘は走って行き、母の家の者に出来事を告げた。
24:29 リベカにはラバンという兄がいたが、ラバンはすぐに町の外れの泉の傍らにいるその人のところへ走った。
24:30 妹が着けている鼻輪と腕輪を見、妹リベカが、「その人がこう言いました」と話しているのを聞いたためである。彼が行ってみると、確かに泉のほとりのらくだのそばにその人が立っていた。
24:31 そこで、ラバンは言った。「おいでください。主に祝福されたお方。なぜ、町の外に立っておられるのですか。わたしが、お泊まりになる部屋もらくだの休む場所も整えました。」
24:32 その人は家に来て、らくだの鞍をはずした。らくだにはわらと餌が与えられ、その人と従者たちには足を洗う水が運ばれた。
24:33 やがて食事が前に並べられたが、その人は言った。「用件をお話しするまでは、食事をいただくわけにはまいりません。」「お話しください」とラバンが答えると、
24:34 その人は語り始めた。「わたしはアブラハムの僕でございます。
24:35 主がわたしの主人を大層祝福され、羊や牛の群れ、金銀、男女の奴隷、らくだやろばなどをお与えになったので、主人は裕福になりました。
24:36 奥様のサラは、年をとっていましたのに、わたしの主人との間に男の子を産みました。その子にわたしの主人は全財産をお譲りになったのです。
24:37 主人はわたしに誓いを立てさせ、『あなたはわたしの息子の嫁を、わたしが今住んでいるカナンの土地の娘から選び取るな。
24:38 わたしの父の家、わたしの親族のところへ行って、息子の嫁を連れて来るように』と命じました。
24:39 わたしが主人に、『もしかすると、相手の女がわたしに従って来たくないと言うかもしれません』と申しますと、
24:40 主人は、『わたしは今まで主の導きに従って歩んできた。主は御使いを遣わしてお前に伴わせ、旅の目的をかなえてくださる。お前は、わたしの親族、父の家から息子のために嫁を連れて来ることができよう。
24:41 そのとき初めて、お前はわたしに対する誓いを解かれる。またもし、わたしの親族のところに行っても、娘をもらえない場合には、お前はこの誓いを解かれる』と言いました。
24:42 こういうわけで、わたしは、今日、泉の傍らにやって来て、祈っておりました。『主人アブラハムの神、主よ。わたしがたどってきたこの旅の目的を、もしあなたが本当にかなえてくださるおつもりなら、
24:43 わたしは今、御覧のように、泉の傍らに立っていますから、どうか、おとめが水をくみにやって来るようになさってください。彼女に、あなたの水がめの水を少し飲ませてください、と頼んでみます。
24:44 どうぞお飲みください、らくだにも水をくんであげましょう、と彼女が答えましたなら、その娘こそ、主が主人の息子のためにお決めになった方であるといたします。』
24:45 わたしがまだ心に言い終わらないうちに、リベカさまが水がめを肩に載せて来られたではありませんか。そして、泉に下りて行き、水をおくみになりました。わたしが、『どうか、水を飲ませてください』と頼みますと、
24:46 リベカさまはすぐに水がめを肩から下ろして、『どうぞお飲みください。らくだにも飲ませてあげましょう』と答えてくださいました。わたしも飲み、らくだも飲ませていただいたのです。
24:47 『あなたは、どなたの娘さんですか』とお尋ねしたところ、『ナホルとミルカの子ベトエルの娘です』と答えられましたので、わたしは鼻輪を鼻に、腕輪を腕に着けて差し上げたのです。
24:48 わたしはひざまずいて主を伏し拝み、主人アブラハムの神、主をほめたたえました。主は、主人の子息のために、ほかならぬ主人の一族のお嬢さまを迎えることができるように、わたしの旅路をまことをもって導いてくださいました。
24:49 あなたがたが、今、わたしの主人に慈しみとまことを示してくださるおつもりならば、そうおっしゃってください。そうでなければ、そうとおっしゃってください。それによって、わたしは進退を決めたいと存じます。」
24:50 ラバンとベトエルは答えた。「このことは主の御意志ですから、わたしどもが善し悪しを申すことはできません。
24:51 リベカはここにおります。どうぞお連れください。主がお決めになったとおり、御主人の御子息の妻になさってください。」
24:52 アブラハムの僕はこの言葉を聞くと、地に伏して主を拝した。
24:53 そして、金銀の装身具や衣装を取り出してリベカに贈り、その兄と母にも高価な品物を贈った。
24:54 僕と従者たちは酒食のもてなしを受け、そこに泊まった。次の朝、皆が起きたとき、僕が、「主人のところへ帰らせてください」と言うと、
24:55 リベカの兄と母は、「娘をもうしばらく、十日ほど、わたしたちの手もとに置いて、それから行かせるようにしたいのです」と頼んだ。
24:56 しかし僕は言った。「わたしを、お引き止めにならないでください。この旅の目的をかなえさせてくださったのは主なのですから。わたしを帰らせてください。主人のところへ参ります。」
24:57 「娘を呼んで、その口から聞いてみましょう」と彼らは言い、
24:58 リベカを呼んで、「お前はこの人と一緒に行きますか」と尋ねた。「はい、参ります」と彼女は答えた。
24:59 彼らは妹であるリベカとその乳母、アブラハムの僕とその従者たちを一緒に出立させることにし、
24:60 リベカを祝福して言った。「わたしたちの妹よ/あなたが幾千万の民となるように。あなたの子孫が敵の門を勝ち取るように。」
24:61 リベカは、侍女たちと共に立ち上がり、らくだに乗り、その人の後ろに従った。僕はリベカを連れて行った。
24:62 イサクはネゲブ地方に住んでいた。そのころ、ベエル・ラハイ・ロイから帰ったところであった。
24:63 夕方暗くなるころ、野原を散策していた。目を上げて眺めると、らくだがやって来るのが見えた。
24:64 リベカも目を上げて眺め、イサクを見た。リベカはらくだから下り、
24:65 「野原を歩いて、わたしたちを迎えに来るあの人は誰ですか」と僕に尋ねた。「あの方がわたしの主人です」と僕が答えると、リベカはベールを取り出してかぶった。
24:66 僕は、自分が成し遂げたことをすべてイサクに報告した。
24:67 イサクは、母サラの天幕に彼女を案内した。彼はリベカを迎えて妻とした。イサクは、リベカを愛して、亡くなった母に代わる慰めを得た。
創世記 24章28節~67節

原稿のアイコンメッセージ

 今夕は創世記の第24章28節から67節より、御言葉の恵みにあずかりたいと願います。

 28節に、「娘は走って行き、母の家の者に出来事を告げた」とありますが、これは、「お父さまの家にはわたしどもが泊めていただける場所があるでしょうか」という願いと、「主はわたしの旅路を導き、主人の一族の家にたどりつかせてくださいました」という祈りを受けてのことであったと思います。父の家に泊まりたいと願っている男は、どうやら自分と同じ一族の者から遣わされた僕であることを知り、リベカは走って、母の天幕にいる者たちにその出来事を伝えたのです。妹が付けている金の鼻輪と腕輪を見て、リベカからの言葉を聞いた兄ラバンは、すぐ町の外れの泉の傍らにいる僕のもとへと走って行きました。ラバンは後に、ヤコブの報酬を十度も変えた強欲な人物でありますが、ここでもおいしい話を逃してはならないと考えたのでしょう。彼は、泉のほとりのラクダの側に立っている僕に対して、こう呼びかけます。「おいでください。主に祝福されたお方。なぜ、町の外に立っておられるのですか。わたしが、お泊まりになる部屋もらくだの休ませる場所も整えました」。リベカが旅人である僕に水を飲ませ、らくだにも水を飲ませたのは親切心からでありましたが、ラバンが僕のために泊まる部屋を用意し、ラクダのために休む場所を用意したのは、妹の着けている金の鼻輪と腕輪を見たからでありました。ラバンは、そのような財宝のゆえに、僕を「主に祝福されたお方」と呼びかけるのです。そして、家に迎え入れ、ラクダにはわらと餌が与えられ、僕とその従者には、足を洗う水が運ばれたのでした。僕は食事の歓待を受けるのですが、「要件をお話しするまでは、食事をいただくわけにはまいりません」と答えました。アブラハムに誓った要件は、何一つ済んでいなかったからです。ラバンが「お話しください」と答えると、僕はこれまでの経緯を語り出しました。「わたしはアブラハムの僕でございます。主がわたしの主人を大層祝福され、羊や牛の群れ、金銀、男女の奴隷、ラクダやろばなどをお与えになったので、主人は裕福になりました。奥様のサラは、年をとっていましたのに、わたしの主人との間に男の子を産みました。その子にわたしの主人は全財産をお譲りになったのです。

 主人はわたしに誓いを立てさせ、『あなたはわたしの息子の嫁を、わたしが今住んでいるカナンの土地の娘から選び取るな。わたしの父の家、わたしの親族のところへ行って、息子の嫁を連れて来るように』と命じました。わたしが主人に、『もしかすると、相手の女がわたしに従って来たくないというかも知れません』と申しますと、主人は、『わたしは今まで主の導きに従って歩んできた。主は御使いを遣わしてお前に伴わせ、旅の目的をかなえてくださる。お前は、わたしの親族、父の家から息子のために嫁を連れて来ることができよう。そのとき初めて、お前はわたしに対する誓いを解かれる。またもし、わたしの親族のところに行っても、娘をもらえない場合には、お前はこの誓いを解かれる』と言いました。

 こういうわけで、わたしは、今日、泉の傍らにやって来て、祈っておりました。『主人アブラハムの神、主よ。わたしがたどってきたこの旅の目的を、もしあなたが本当にかなえてくださるおつもりなら、わたしは今、御覧のように、泉の傍らに立っていますから、どうか、おとめが水をくみにやって来るようになさってください。彼女に、あなたの水がめの水を少し飲ませてください、と頼んでみます。どうぞ、お飲みください、らくだにも水をくんであげましょう、と彼女が答えましたなら、その娘こそ、主が主人の息子のためにお決めになった方であるといたします。』

 わたしがまだ心に言い終わらないうちに、リベカさまが水がめを肩に載せて来られたではありませんか。そして、泉に下りて行き、水をおくみになりました。わたしが、『どうか、水を飲ませてください』と頼みますと、リベカさまはすぐに水がめを肩から下ろして、『どうぞお飲みください。らくだにも飲ませてあげましょう』と答えてくださいました。わたしも飲み、らくだも飲ませていただいたのです。『あなたは、どなたの娘さんですか』とお尋ねしたところ、『ナホルとミルカの子ベトエルの娘です』と答えられましたので、わたしは鼻輪を鼻に、腕輪を腕に着けて差し上げたのです。わたしはひざまずいて主を伏し拝み、主人アブラハムの神、主をほめたたえました。主は、主人の子息のために、ほかならぬ主人の一族のお嬢さまを迎えることができるように、わたしの旅路をまことをもって導いてくださいました。あなたがたが、今、わたしの主人に慈しみとまことを示してくださるおつもりならば、そうおっしゃってください。そうでなければ、そうおっしゃってください。それによって、わたしは進退を決めたいと存じます。」

 これを聞いて、兄ラバンと父ベトエルは次のように答えました。「このことは主の御意志ですから、わたしどもが善し悪しを申すことはできません。リベカはここにおります。どうぞお連れください。主がお決めになったとおり、御主人の御子息の妻になさってください」。ラバンとベトエルも、主が僕の旅路をまことをもって導かれたことを認めました。そして、リベカをイサクの妻とすることは、主が決められたことであると言うのです。アブラハムの僕はこの言葉を聞くと、地にひれ伏して主を拝しました。僕は、ラバンとベトエルに感謝を述べるまえに、このようにしてくださった主に感謝をささげたのです。そして、金銀の装身具や衣装を取り出してリベカに贈り、その兄と母にも高価な品物を、いわば結納の品として贈ったのであります。それから、ようやく僕と従者たちは酒食のもてなしを受けたのです。

 次の朝、皆が起きたとき、僕は、「主人のところへ帰らせてください」と申し出ました。アラム・ナハライムからカナンの地までは1ヶ月の旅路でありますし、アブラハムは多くの日を重ねて老人になっていましたから、主人のもとに早く帰りたかったのでありましょう。けれども、リベカの兄と母は、「娘をもうしばらく、十日ほど、わたしたちの手もとに置いて、そこから行かせるようにしたいのです」と頼みました。このことは、よく分かることであります。娘ともう二度と会うことができなくなるかも知れないのですから、しばらくの間一緒にいたいと願うことは当然のことであります。しかし、僕はこう言うのです。「わたしを、お引き止めにならないでください。この旅の目的をかなえてくださったのは主なのですから。わたしを帰らせてください。主人のところへ参ります」。僕は、この旅の目的をかなえてくださったのは主であるから、それを妨げてはいけないと言うのです。僕はリベカをカナンの地にいるイサクのもとに連れてきて、初めてアブラハムとの誓いから解かれるわけです。ですから、僕にとって、この旅路はまだ終わっていない、途上にあるわけです。そこで、リベカの兄と母は、「娘を呼んで、その口から聞いてみましょう」と言い、リベカを呼んで、「お前はこの人と一緒に行きますか」と尋ねたのです。これまで、リベカの意志が問われたことはありませんでした。リベカをイサクの妻と決めたのは、兄ラバンと父ベトエルであったのです。しかし、ここで、リベカ本人の口から「はい、参ります」との言葉が語られるのです。このことは、リベカも主の導きを信じていたことを現しています。自分をイサクの妻となるように決められたのは主であることを、リベカも信じていたのです。かつてアブラハムが、父の家を離れて、主の導きに従って見知らぬ土地に出て行ったように、ここでリベカも、父の家を離れ、主の導きに従って見知らぬ土地へ行くのです。

 母と兄は、妹であるリベカとその乳母をアブラハムの僕とその従者たちと一緒に出立させることにし、リベカを祝福して言いました。「わたしたちの妹よ/あなたが幾千万の民となるように。あなたの子孫が敵の門を勝ち取るように」。これは、別れの際に語られた祝福の言葉でありますが、その内容は、第22章で主が誓われたことと通じるものであります。神の誓いは、アブラハムとその子孫を祝福するとの誓いでもあるのです。

 リベカは、侍女たちと共に立ち上がり、らくだに乗り、僕の後ろに従いました。リベカは主の導きを信じて、自ら僕のあとに従ったのです。このようにして、僕はイサクの嫁をアブラハムの故郷の地から連れて来ることができたのです。

 62節から67節までをお読みします。

 イサクはネゲブ地方に住んでいた。そのころ、ベエル・ラハイ・ロイから帰ったところであった。夕方暗くなるころ、野原を散策していた。目を上げて眺めると、らくだがやって来るのが見えた。リベカも目を上げて眺め、イサクを見た。リベカはらくだから下り、「野原を歩いて、わたしたちを迎えに来るあの人は誰ですか」と僕に尋ねた。「あの方がわたしの主人です」と僕が答えると、リベカはベールを取り出してかぶった。僕は、自分が成し遂げたことをすべてイサクに報告した。イサクは、母サラの天幕に彼女を案内した。彼はリベカを迎えて妻とした。イサクはリベカを愛して、亡くなった母に代わる慰めを得た。

 ここには大変美しい、イサクとリベカの出会いの場面が記されています。イサクとリベカを主が夫婦としてくださったことは、彼らが互いに愛し合うようになることをも含んでいます。第26章に、イサクがリベカを自分の妹であると偽ったことが記されていますが、それが偽りであることがアビメレクに知れてしまうのは、「イサクが妻リベカと戯れている」のを窓の下から見たからでありました。主によって結ばれたイサクとリベカは仲むつまじい夫婦となるのです。また、このことは、イサクだけが族長の中で、側女を取らなかったことにも表れていると思われます。主は男と女を結び合わせて夫婦とするだけではなく、互いに愛し合うことができるようにしてくださるのです。そのようにして、私たちが平和な生活を送ることができるよう導いてくださるのです。

 イサクとリベカの結婚のお話は大変長いのですが、結婚が主の導きのもとになされることを教える美しい物語であるのです。

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