ノアの子孫 2012年3月04日(日曜 夕方の礼拝)

問い合わせ

日本キリスト改革派 羽生栄光教会のホームページへ戻る

ノアの子孫

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
創世記 10章1節~32節

聖句のアイコン聖書の言葉

10:1 ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに息子が生まれた。
10:2 ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。
10:3 ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。
10:4 ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。
10:5 海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった。
10:6 ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。
10:7 クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった。
10:8 クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。
10:9 彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、「主の御前に勇敢な狩人ニムロドのようだ」という言い方がある。
10:10 彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。
10:11 彼はその地方からアッシリアに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、
10:12 レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった。
10:13 エジプトにはリディア人、アナミム人、レハビム人、ナフトヒム人、
10:14 上エジプト人、カスルヒム人、カフトル人が生まれた。このカフトル人からペリシテ人が出た。
10:15 カナンには長男シドンとヘト、
10:16 また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、
10:17 ヒビ人、アルキ人、シニ人、
10:18 アルワド人、ツェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。
10:19 カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。
10:20 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である。
10:21 セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。
10:22 セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった。
10:23 アラムの子孫は、ウツ、フル、ゲテル、マシュであった。
10:24 アルパクシャドにはシェラが生まれ、シェラにはエベルが生まれた。
10:25 エベルには二人の息子が生まれた。ひとりの名は、その時代に土地が分けられた(パラグ)ので、ペレグといい、その兄弟はヨクタンといった。
10:26 ヨクタンには、アルモダド、シェレフ、ハツァルマベト、イエラ、
10:27 ハドラム、ウザル、ディクラ、
10:28 オバル、アビマエル、シェバ、
10:29 オフィル、ハビラ、ヨバブが生まれた。これらは皆、ヨクタンの息子であった。
10:30 彼らはメシャからセファルに至る東の高原地帯に住んでいた。
10:31 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である。
10:32 ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめると以上のようになる。地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た。創世記 10章1節~32節

原稿のアイコンメッセージ

 今夕は創世記第10章1節から32節より御言葉の恵みにあずかりたいと願っています。

 1節に「ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図は次のとおりである」とありますように、今夕の御言葉には「ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図」が記されております。32節後半にありますように、「地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た」のです。使徒パウロはアレオパゴスの説教の中で「神は、一人の人からすべての民族を造り出して、地上の至るところに住まわせ」たと語りました(使徒17:26)。今夕の御言葉も系図によって「神は、一人の人からすべての民族を造り出した」ことを私たちに教えているのです。

 2節から5節までをお読みします。

 ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった。

 聖書は最初にヤフェトの子孫について記しています。1節に「ノアの息子セム、ハム、ヤフェトの系図」とありましたが、系図は、ヤフェトの子孫、ハムの子孫、セムの子孫という順序で記されています。ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスでありましたが、その中でもゴメルの子孫とヤワンの子孫だけが記されています。このように、系図は取捨選択されて記されているのです。ヤフェトの子孫の記述は、ハムの子孫やセムの子孫に比べて短いのですが、これはあまり関心がなかったためと思われます。参考資料としてお配りした日本聖書協会から発行されている『バイブル・アトラス』からのコピーをご覧いただくと、ヤフェトの子孫が海沿いの国々、地中海に面する小アジアに集まっていることが分かります。地理的にもヤフェトの子孫はイスラエル人から離れていたために、関心が少なかったのではないかと思います。

 6節から20節までをお読みします。

 ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった。クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、「主の御前に勇敢な狩人ニムロドのようだ」という言い方がある。彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。彼はその地方からアッシリアに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった。

 エジプトにはリディア人、アナミム人、レハビム人、ナフトヒム人、上エジプト人、カスルヒム人、カフトル人が生まれた。このカフトル人からペリシテ人が出た。

 カナンには長男シドンとヘト、また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、ヒビ人、アルキ人、シニ人、アルワド人、ツェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更にソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である。

 ハムの子孫の記述はヤフェトの子孫の記述に比べて長く記されています。それは地図を見ればお分かりのように、イスラエル人と隣接している交流のある民族であったからだと思われます。ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンでありましたが、ここではクシュ、エジプト、カナンの三人の子孫について記されています。目を引くのが、クシュから生まれたニムロドについての記述です。ニムロドは地上で最初の勇士となった人物であり、主の御前に勇敢な狩人でありました。当時はライオンなどの野獣によって人々の生活は脅かされていました(出エジプト23:29参照)。ですから、ライオンなどの野獣をやっつけて、人々を守ってくれる勇士が王となったのです。ニムロドは王国を建てた最初の人として聖書に記されています。そして、彼の王国のおもな町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にありました。続く第11章はシンアルの地で、人々が天まで届く塔を建て始めたことを記しています。このことは「有名になろう」とする主への反逆行為でありました。ですから、ニムロドは主を王とするのではなく、自分を王として主に逆らった人物としてここに記されているのです。

 またカナンの子孫についても長く記されていますが、カナンはノアによって呪われた人物でありました。酔いからさめたノアは、末の息子がしたことを知りこう言いました。「カナンは呪われよ/奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ」。また、次のようにも言いました。「セムの神、主をたたえよ。カナンはセムの奴隷となれ。神がヤフェトの土地を広げ(ヤフェト)/セムの天幕に住まわせ/カナンはその奴隷となれ」。そのカナンに長男シドンとヘト、また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、ヒビ人、アルキ人、シニ人、アルワド人、ツェマリ人、ハマト人が生まれるのです。そして、彼らはシドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだところを領土としたのです。後に主がアブラハムに約束された土地は、まさにカナンの子孫が住んでいた土地であったのです。創世記の第15章18節から21節にこう記されています。

 その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。「あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、カイン人、ケナズ人、カドモニ人、ヘト人、ペリジ人、レファイム人、アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。

 私たちはアブラハムに対する主の約束を、ノアの息子たちの系図を踏まえて、さらにはノアの息子たちに対する言葉を踏まえて理解する必要があるのです。

 では今夕の御言葉に戻ります。

 21節から31節までをお読みします。

 セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった。アラムの子孫は、ウツ、フル、ゲテル、マシュであった。アルパクシャドにはシェラが生まれ、シェラにはエベルが生まれた。エベルには二人の息子が生まれた。ひとりの名は、その時代に土地が分けられた(パラグ)ので、ペレグといい、その兄弟はヨクタンといった。ヨクタンには、アルモダド、シェレフ、ハツァルマベト、イエラ、ハドラム、ウザル、ディクラ、オバル、アビマエル、シェバ、オフィル、ハビラ、ヨバブが生まれた。これらは皆、ヨクタンの息子であった。彼らはメシャからセフォルに至る東の高原地帯に住んでいた。これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である。

 21節と25節に出てくる「エベル」とは「ヘブル」を表すと考えられています。つまり、21節は「セムはヘブル人(ヘブライ人)のすべての子孫の先祖である」と記しているのです。今夕の御言葉には「イスラエル」という言葉は出てきませんが、エベル、ヘブルという言葉がここに記されているのです。第11章に「セムの系図」、「テラの系図」が記されていますが、そこを見るとアブラハムがアルパクシャドの子孫から生まれたことが分かります。イスラエル民族はこのアルパクシャドの中に隠されているのです。このように見てきますと、この民族表がイスラエル民族を中心とするような仕方で記されていないことが分かります。この民族表は、すべての民族が神様によって造られたことを当時の資料を用いて記しているのです。

 この民族表はにおよそ70の民族名が記されています。ここからユダヤ人たちは世界にはおよそ70の民族がいると考えるようになりました。ルカによる福音書の第10章を見ますと、イエス様が12人の他に72人を遣わされたことが記されています。このことは世界にはおよそ70の民族がいると考えられていたことと関係しているわけです。イエス様は世界宣教の先駆けとして72人を任命し遣わされたのです。そして、このことは主を王とするイスラエルの使命でもありました。なぜなら、イスラエルは祭司の王国であったからです。イスラエルが神様によって選ばれたのは、神様によって造られたすべての民族に、祝福をもたらすためであったのです。そして、ここに神のイスラエルである私たち教会の使命があるのです。

関連する説教を探す関連する説教を探す