ノア契約 2012年2月05日(日曜 夕方の礼拝)

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ノア契約

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
創世記 9章8節~17節

聖句のアイコン聖書の言葉

9:8 神はノアと彼の息子たちに言われた。
9:9 「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。
9:10 あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。
9:11 わたしがあなたたちと契約を立てたならば、二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」
9:12 更に神は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。
9:13 すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。
9:14 わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、
9:15 わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。
9:16 雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める。」
9:17 神はノアに言われた。「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間に立てた契約のしるしである。」創世記 9章8節~17節

原稿のアイコンメッセージ

今夕は創世記の第9章8節から17節より御言葉の恵みにあずかりたいと思います。

 8節から11節までをお読みします。

 神はノアと彼の息子たちに言われた。「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。わたしがあなたたちと契約を立てるならば、二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」

 神様は1節で、ノアと彼の息子たちを祝福して「産めよ、増えよ、地に満ちよ」といわれましたが、その神様の祝福の土台として、神様はノアたちとそして後に続く子孫と契約を立ててくださいました。すなわち、神様は私たちとも契約を立ててくださったのです。「わたしは・・・・・・契約を立てる」とありますように、神様は一方的なイニシアチブ、主導権をもって、ノアたちとその後に続く子孫である私たちと契約を立ててくださったのであります。このようにして、神様は御心に言われたことを具体的なかたちとしてくださったのです。第8章21節、22節にこう記されておりました。「主は宥めの香りをかいで、御心に言われた。『人に対して大地を呪うことは二度とすまい。人が心に思うことは、幼いときから悪いのだ。わたしは、この度したように生き物をことごとく打つことは、二度とすまい。地の続くかぎり、種蒔きも刈り入れも/寒さも暑さも/昼も夜も、やむことはない」。この神様の決意に基づいて、神様は第9章9節で、「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる」と言われたのです。さらに、神様は人間とだけではなく、「あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる」と言われるのです。神様は契約を立てることにより、創造主である御自身と生ける全ての被造物との関係を新たなものとしてくださいました。すなわち、神様は被造物の統治者であり代表者である人間ノアと契約を立てることにより、二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされないようにされたのです。カルヴァンは注解書の中で、「神が我々をふさわしく取り扱われるならば、毎日洪水が必要であった」と述べておりますが、なぜ、そのようなことが起こらないのか?それは、神様が一方的な主権をもって、ノアたちとその子孫と契約を結んでくださったからであるのです。神様は第8章21節にありましたように、「人が心に思うことは、幼いときから悪い」ことをご存じでありますけれども、ノアたちとその子孫と契約を立てることにより、「二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされることはない」と言われるのです。神様は罪を裁かれる聖なるお方でありますけれども、ノアの祈りを受け入れ、罪の世界を滅ぼすことなく、保たれるのです。それゆえノア契約は保持の契約とも言われているのです。

 12節から16節までをお読みいたします。

 更に神は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める。」

 ここでは契約のしるしについて記されています。ノアたちならびにノアたちと共にいるすべての生き物と、代々とこしえに神様が立てる契約のしるし、それは雲の中の虹であります。神様は「わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる」と言われました。ここで神様は契約を大地と立てたと言われています。すべての生き物を超えて、神様が造られた大地とも契約を結ぶと言われるのです。このことは、第8章22節にある神様の御言葉を実現するためと言えます。神様はノア契約によって、洪水が起こって地を滅ぼすことが決してないようにされたばかりではなく、地の続くかぎり、種まきも刈り入れも、寒さも暑さも、夏も冬も、昼も夜も、やむことはないようにされたのです。

 ノア契約のしるしは虹でありますが、このしるしも神様によって一方的に与えられたものであります。「わたしは雲の中にわたしの虹を置く」とありますように、虹は人間の手にはとどかないものです。そして、このことはノア契約が神様の一方的な主権によって与えられた恵みであることを示しているのです。また「わたしの虹」と訳されている言葉は直訳すると「わたしの弓」となります。虹は英語でレインボー(雨の弓)と言われますように、弓の形をしているわけです。ですから、神様が雲の間に神様の弓を置かれたということは、神様が罪に堕落した世界に敵意をもはや向けることはなく忍耐されることを表しているのです。虹はご存じのとおり、七色の半円状の帯でありますから、まさしく神様の弓としてふさわしいものと言えます(エゼキエル1:28参照)。神様は虹を契約のしるしとされましたけれども、これはこの時はじめて虹が現れたということではなくて、いままも見ることのできた虹に契約のしるしとしての新しい意味を与えられたということです。神様は14節で「わたしが地の上に雲を沸き起こらせ、雲の中に虹が現れると、わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない」と言われます(~15節)。虹は自然現象としては、大気中に浮遊している水滴に日光があたり光の分散を生じたものと言われます(『広辞苑』)。ですから、虹は雨が上がりに、太陽と反対側の空中に見えるわけです(『広辞苑』)。雨が降り続いていてはもちろん虹を見ることはできません。雨があがって、太陽の光が差して、そこで虹が見えるわけです。その虹を見て、神様はノアたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留めると言われるのです。このように記されているのは、契約の当事者である私たちのためでもあります。私たちは大洪水によって滅ぼされた人たちと同じ罪人であり、滅ぼされて当然の者たちであります。しかし、神様はノアのときのように四十日に渡って雨を降らせるようなことはなさらない。雨は必ずあがり、そして雲の中に私たちは虹を見いだすことができるのです。そのとき、私たちは神様がノアとの契約を心に留めてくださっていることを思い起こすことができるのです。神様によって造られながらも、神様のご意志に背いている私たちが、この地上に生きていることは当たり前のことではありません。私たちは神様の恵みであるノア契約によって、まさしく生かされているのです。

 私たちはノアの時代よりも、虹を見ることが少なくなったかも知れませんが、虹を見るごとに、神様がノアに、「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間に立てた契約のしるしである」と言われたことを心に留めたいと願います(17節)。そのようにして神様の一方的な恵みに感謝し、いよいよ神の祝福の中を生きる者たちでありたいと願います。

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