神の王座は代々とこしえに 2026年4月12日(日曜 夕方の礼拝)
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神の王座は代々とこしえに
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- 村田寿和 牧師
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詩編 45編1節~18節
聖書の言葉
45:1 指揮者によって。「百合」に合わせて。コラの子の詩。マスキール。愛の歌。
45:2 私の心に湧き立つ美しい言葉/私の詩を王のために歌おう。/私の舌は巧みに物書く人の筆。
45:3 あなたは人の子の誰よりも美しく/その唇は優雅に語り出す。/それゆえ神はあなたをとこしえに祝福された。
45:4 勇士よ、腰に剣を帯びよ。/それはあなたの威厳と輝き。
45:5 輝きを帯びて進み行け/真実と謙虚と義の馬を駆って。/右の手があなたに恐るべき力をもたらすように。
45:6 あなたの矢は鋭く、王の敵のただ中に飛び/もろもろの民はあなたの足元に倒れる。
45:7 神よ、あなたの王座は代々とこしえに。/あなたの王権の笏は公平の笏。
45:8 あなたは義を愛し、悪を憎む。/それゆえ、神、あなたの神は/あなたに喜びの油を注がれた/あなたを仲間から選び出して。
45:9 あなたの衣はどれもみな/没薬、沈香、シナモンの香りを放ち/象牙の宮殿から響く弦の調べはあなたを喜ばせる。
45:10 諸国の王女らはあなたの高貴な飾りを/あなたの右に立つ王妃は/オフィルの金をその身に着ける。
45:11 娘よ、心して聞け。/よく見て、耳を傾けよ。/あなたの民と父の家を忘れよ。
45:12 王があなたの美しさを慕うなら/王はあなたの主人。彼の前にひれ伏すがよい。
45:13 ティルスの娘よ、民の富める者は贈り物を携え/あなたの好意を願い求めている。
45:14 王の娘は栄光に輝き/晴れ着には金糸の刺繍
45:15 彩り豊かな衣をまとい/王のもとへと導かれる。/後ろに付き添うおとめらもあなたのもとに進む。
45:16 おとめらは喜びの中を導かれ/歓喜のうちに王の宮殿へと進み入る。
45:17 あなたの子らは先祖に代わって立ち/あなたは彼らを全地の長とする。
45:18 私はあなたの名を代々に覚えさせる。/それゆえ、もろもろの民はあなたに/感謝を献げる/代々とこしえに。
詩編 45編1節~18節
メッセージ
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今夕は、『詩編』の第45編より、御言葉の恵みにあずかりたいと願います。1節にあるように、第45編は、レビ人で聖歌隊の「コラの子の詩(し)」であります。また、「愛の歌(うた)」とあるように、王の婚宴を祝う詩編であります。
2節を読みます。
私の心に沸き立つ美しい言葉/私の詩を王のために歌おう。私の舌は巧みに物書く人の筆。
詩人は、自分の心に沸き立つ美しい言葉、王のための歌を声に出して語りだします。「私の舌は巧みに物書く人の筆」とあるように、この詩編は口述筆記されたようです。
3節から10節までを読みます。
あなたは人の子の誰よりも美しく/その唇は優雅に語り出す。それゆえ神はあなたをとこしえに祝福された。勇士よ、腰に剣を帯びよ。それはあなたの威厳と輝き。輝きを帯びて進み行け/真実と謙虚と義の馬を駆って。右の手があなたに恐るべき力をもたらすように。あなたの矢は鋭く、王の敵のただ中に飛び/もろもろの民はあなたの足元に倒れる。神よ、あなたの王座は代々とこしえに。あなたの王権の笏は公平の笏。あなたは義を愛し、悪を憎む。それゆえ、神、あなたの神は/あなたに喜びの油を注がれた。あなたを仲間から選び出して。あなたの衣はどれもみな/没薬、沈香、シナモンの香りを放ち/象牙の宮殿から響く弦の調べはあなたを喜ばせる。諸国の王女らはあなたの高貴な飾りを/あなたの右に立つ王妃は/オフィルの金をその身に着ける。
「あなた」とは「王」のことです。詩人は、「私の詩(し)を王のために歌おう」と言いましたが、王をほめたたえているのです。王は誰よりも美しく、その言葉に気品がありました。初代の王サウルは優れた若者で、その美しさに並ぶ者はイスラエルにいませんでした(サムエル上9:2参照)。また、サウルに代わって王となったダビデも、「血色が良く、目は美しく、姿も立派で」した(サムエル上16:12)。ダビデが優雅に語ったことは、多くの詩編を記したことから分かります。美しい容姿と優雅に語る唇は、神様が王をとこしえに祝福されたしるしであるのです。また、王は戦いに優れた勇士でもあります。『サムエル記上』の第8章に、イスラエルの民が、預言者サムエルに王を求めたことが記されています。そこで民はこう言うのです。「我々にはどうしても王が必要なのです。我々もまた、すべての国々と同様、我々を治める王が必要であり、王が陣頭に立って進み、我々のために戦の指揮を執るのです」。イスラエルの民が王を求めたのは、ペリシテ人やアンモン人と戦うためでした(サムエル記上12:12参照)。それゆえ、王は勇士であること、剣をもって敵に勝利することが求められたのです。この点において、サウル王は不十分でした。ペリシテ人の代表戦士であるゴリアトと戦ったのは、サウル王ではなく、羊飼いのダビデでした。ダビデは、ゴリアトに勝利することによって、サウル王に見いだされます。そして、サウル王はダビデを戦士たちの長に任命するのです。そのダビデについて、聖書は次のように記しています。「ダビデは兵の先頭に立って出陣し、帰還した。ダビデはその行く所どこでも勝利を収めた。主が彼と共におられたからである。サウルはダビデが大勝利を収めるのを見て、彼を恐れた。イスラエルもユダも、すべての者がダビデを愛した。出陣するにも帰還するにも、彼らの先頭に立ったからである」(サムエル上18:13~16)。このようにダビデは、王にふさわしい人物であったのです。
7節に、「神よ、あなたの王座は代々とこしえに。あなたの王権の笏は公平の笏」とあります。ここで詩人は、王のことを「神」(エロヒーム)と呼んでいます。イスラエルにおいて、王は「神の子」と呼ばれました。例えば、第2編の「王の即位の詩編」では、「主は私に言われた。『あなたは私の子。私は今日、あなたを生んだ』」と記されています(詩2:7)。また、『サムエル記下』の第7章に記されているナタンの預言、いわゆるダビデ契約にはこう記されています。「あなたが生涯を終え、先祖と共に眠るとき、あなたの末裔、あなたの身から出る者を後に立たせ、その王国を揺るぎないものとする。その者が私の名のために家を建て、私は彼の王国の王座をとこしえに堅く据える。私は彼の父となり、彼は私の子となる」。このように、王は特別な意味で、「神の子」であったのです。そのことを背景にして、詩人は王を「神」と呼ぶのです。
8節に、「あなたは義を愛し、悪を憎む。それゆえ、神、あなたの神は/あなたに喜びの油を注がれた/あなたの仲間から選び出して」とあります。イスラエルにおいて、神様が王を立てられるとき、その人の頭に香油を注ぐ儀式を行いました。『サムエル記上』を読むと、預言者サムエルがサウルの頭に油を注いだこと。またダビデの頭に油を注いだことが記されています(サムエル上10:1、16:13参照)。神は、御自分の御心を行う王を立てるにあたって、御自分と同じように、義を愛し、悪を憎む人を選ばれます。そのようにして、神様は、御自分の民であるイスラエルを正しく、公平に裁かれるのです。
9節には、王の絢爛豪華な暮らしぶりが記されています。王の衣はどれも良い香りを放ち、その住まいは象牙の宮殿であり、そこでは美しい音楽が奏でられています。10節の「諸国の王女ら」は、王の婚宴に招待されて来た客(来賓)であるようです。王の右に立つ王妃は、オフィルの金を身に着ける、最も美しい女性であるのです。
11節から16節までを読みます。
娘よ、心して聞け。よく見て、耳を傾けよ。あなたの民と父を忘れよ。王があなたの美しさを慕うなら/王はあなたの主人。彼の前にひれ伏すがよい。ティルスの娘よ、民の富める者は贈り物を携え/あなたの好意を願い求めている。王の娘は栄光に輝き/晴れ着には金糸の刺繍/彩り豊かな衣をまとい/王のもとへと導かれる。後ろに付き添うおとめらもあなたのもとに進む。おとめらは喜びの中を導かれ/歓喜のうちに王の宮殿へと進み入る。
11節から13節までは、王の花嫁になる娘への言葉が記されています。詩人は「娘よ、心して聞け。よく見て、耳を傾けよ。あなたの民と父の家を忘れよ」と言います。13節に「ティルスの娘」とあるように、娘は外国(フェニキア)から嫁いで来たのです(ティルスはフェニキアの町)。フェニキアでは、バアルなどの偽りの神々が礼拝されていました。それゆえ、詩人は、「あなたの民と父の家を忘れよ」と言うのです。また、詩人は、「王があなたの美しさを慕うなら、従順に従いなさい」と言います。王の妃(きさき)となるあなたは、民の富める者から好意を願い求められる、力ある者となることを忘れないようにと言うのです。
14節から16節までは、王の宮殿へと向かう花嫁行列の様子が記されています。「王の娘」とは「花嫁であるティルスの娘」のことです。花嫁は、晴れ着をまとい、おとめたち(侍女たち)を引き連れて、喜びのうちに、王の宮殿へと進み入るのです。
17節と18節を読みます。
あなたの子らは先祖に代わって立ち/あなたは彼らを全地の長とする。私はあなたの名を代々に覚えさせる。それゆえ、もろもろの民はあなたに/感謝を献げる/代々とこしえに。
「あなたの子ら」の「あなたの」は男性形で記されているので、王のことです。詩人は婚礼の祝福の言葉として、花婿である王と花嫁であるティルスの娘に子どもが生まれ、王家がますます繁栄することを願うのです。18節で、詩人は「私はあなたの名を代々に覚えさせる」と言います。このことは、この詩編が聖書に収められたことによって、実現したと言えます。詩人は、王の子らが正義と公平な裁きを行い、全地を治めることにより、もろもろの民が感謝をささげるようになると言うのです。
今夕の第45編は、来るべき王を預言するメシア預言であります。といいますのも、7節の御言葉を、ヘブライ人への手紙は、イエス・キリストに当てはめて引用しているからです。『ヘブライ人への手紙』の第1章5節から9節までを読みます。新約の392ページです。
神はかつて、天使たちの誰に向かって、こう言われたでしょうか。「あなたは私の子/私は今日、あなたを生んだ。」さらにまた、「私は彼の父となり/彼は私の子となる。」と言われました。また、神はその長子を再び世界に送るにあたって、こう言われます。「神の天使たちは皆、彼を礼拝せよ。」また、天使たちに向かっては、こう言われます。「神は、天使たちを風とし/自分に仕える者たちを燃える火とされる。」一方、御子に向かっては、こう言われます。「神よ、あなたの王座は世々限りなく/公平の笏があなたの王権の笏である。あなたは義を愛し、不法を憎んだ。それゆえ、神、あなたの神は/あなたに喜びの油を注がれた。あなたを仲間から選び出して。」
ヘブライ人への手紙は、8節と9節で、今夕の御言葉、『詩編』の第45編を引用しています。王に対する「神よ」という呼びかけは、旧約においては問題のある呼びかけでした。しかし、御子に向かっての呼びかけとしては適切です。なぜなら、御子イエス・キリストは、まことの人であり、まことの神であるからです。ヘブライ人への手紙は、『詩編』の第45編の王、メシアについての御言葉は、イエス・キリストにおいて完全に実現したと言っているわけです。
第45編がイエス・キリストを指し示すメシア預言であるならば、その王の花嫁は教会であると言えます(エフェソ5:21~33参照)。私たちは、これまで親しんできた異教の習慣を忘れて、主イエス・キリストの前にひれ伏すべきであるのです。また、私たちには、詩人のように、イエス・キリストの名を代々に覚えさせる務めが与えられています。イエス・キリストの花嫁である私たちは、イエス・キリストに感謝し、御名を代々とこしえにほめたたえているのです。