あなたを憎む者が飢えているなら 2025年10月22日(水曜 聖書と祈りの会)

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あなたを憎む者が飢えているなら

日付
説教
村田寿和 牧師
聖書
箴言 25章21節~22節

聖句のアイコン聖書の言葉

25:21 あなたを憎む者が飢えているならパンを食べさせ/渇いているなら水を飲ませよ。
25:22 こうしてあなたは彼の頭に炭火を積み/主はあなたに報いてくださる。箴言 25章21節~22節

原稿のアイコンメッセージ

 『箴言』の第25章1節に、「これらもまた、ソロモンの箴言である。ユダの王ヒゼキヤの下にある人々が筆写したもの」とあります。第25章から第29章までは、ユダの王ヒゼキヤの下にある人々が筆者したソロモンの箴言であります。ちなみに、ソロモン王の治世は紀元前970年から931年頃です。また、ユダの王ヒゼキヤの治世は紀元前716年から687年です。紀元前10世紀にソロモンが箴言を記し、そのおよそ300年後に、ソロモンの箴言をユダの王ヒゼキヤの下にある人々が書き写したのです。その箴言を、私たちは神の知恵の言葉として、今朝も学びたいと願います。今朝は、第25章21節と22節を中心にして、御言葉の恵みにあずかりたいと願います。

 あなたを憎む者が飢えているならパンを食べさせ/渇いているなら水を飲ませよ。こうしてあなたは彼の頭に炭火を積み/主はあなたに報いてくださる。

 知恵の教師であるソロモンは、「あなたを憎む者が飢えているならパンを食べさせ、渇いているなら水を飲ませよ」と言います。これと同じようなことがモーセの律法にも記されています。『出エジプト記』の第23章4節と5節を読みます。旧約の121ページです。

 もし、あなたの敵の牛、あるいはろばが迷っているのに出会ったならば、必ずその人のもとに返さなければならない。もし、あなたを憎む者のろばが荷物の下に倒れているのを見たならば、放置しておいてはならない。必ずその人と一緒に起こしてやらなければならない。

 このように、モーセの律法も、あなたの敵、あなたを憎む者に親切にするようにと教えているのです。このように知恵と律法は相通じるところがあるのです。

 今朝の御言葉に戻ります。旧約の1009ページです。

 知恵の教師であるソロモンは、あなたを憎む者が飢えているならパンを食べさせ、渇いているなら水を飲ませることによって、あなたは彼の頭に炭火を積むことになると言います。私たちは自分を憎む人に親切にすることによって、自分を憎む人の頭に「炭火を積む」ことができるのです。「炭火を積む」とは何を意味しているのでしょうか?これには二つの解釈があります。一つの解釈は、「炭火は神の怒りの象徴である」という解釈です。あなたから親切な行いを受けながら、なお、あなたを憎み続けるならば、その人は自分の頭に神の怒りを積み上げることになる。そして、主はあなたを憎む者により厳しい裁きを下されるのです。そのようにして、主はあなたに報いてくださるのです。

 もう一つの解釈は、「炭火は顔から火がでるような恥ずかしい思いの象徴である」という解釈です。あなたから親切な行いを受けた者は、あなたを憎んでいた自分を恥ずかしく思うようになる。そして主があなたとあなたを憎んでいた者の間に平和な関係を築いてくださる。そのようにして、主はあなたに報いてくださるのです。

 私は、二番目の解釈、「炭火は顔から火がでるような恥ずかしい思いの象徴である」という解釈を取りたいと思います。また、主が与えてくださる報いとは、「あなたとあなたを憎む者との間の平和な関係である」という解釈を取りたいと思います。なぜなら、イエス・キリストの使徒パウロが、そのような文脈で、今朝の箴言を引用しているからです。『ローマの信徒への手紙』の第12章9節から21節までを読みます。新約の286ページです。

 愛には偽りがあってはなりません。悪を退け、善に親しみ、兄弟愛をもって互いに深く愛し、互いに相手を尊敬し、怠らず励み、霊に燃えて、主に仕えなさい。希望をもって喜び、苦難に耐え、たゆまず祈り、聖なる者たちに必要なものを分かち、旅人をもてなすよう努めなさい。あなたがたを迫害する者を祝福しなさい。祝福するのであって、呪ってはなりません。喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい。互いに思いを一つにし、高ぶらず、身分の低い人々と交わりなさい。自分を賢い者と思ってはなりません。誰にも悪をもって悪に報いることなく、すべての人の前で善を行うよう心がけなさい。できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に過ごしなさい。愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐は私のすること、私が報復する』と主は言われる」と書いてあります。「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。

 悪に負けることなく、善をもって悪に勝つことの具体的な実践が、「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませる」ことであるのです。そうすれば、彼の頭に燃える炭火を積むことになる。つまり、顔から火がでるような恥ずかしい思いを抱かせて、あなたを憎まなくなるのです。そのようにして、主が、私たちと私たちを憎む者との間に平和な関係を築いてくださるのです(その具体例としては列王記下6:8~23を参照)。

 あなたの敵に親切にして、あなたの敵の心を変えること。このことは、神様が私たちにしてくださったことです。私たちは神様から離れ、悪い行いによって、心の中で神様に敵対していました(コロサイ1:21参照)。しかし、そのような私たちに、神様は命のパンであるイエス・キリストを与えて、ご自分のもとへと立ち帰らせてくださいました(ヨハネ6:35「私が命のパンである。私のもとに来る者は決して飢えることがなく、私を信じる者は決して渇くことがない」参照)神様は御子イエス・キリストの肉の体において、その死を通して、私たちとご自分とを和解させてくださったのです(コロサイ1:22参照)。そのようにして、神様は悪に負けることなく、善をもって悪に勝利されたのです。その神様に倣うことが私たちに求められているのです。御子イエス・キリストにあって、神の子とされた私たちも、悪に負けることなく、善をもって悪に勝つ者でありたいと願います。

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