問7.神の聖定とは、何ですか。

問い合わせ

日本キリスト改革派 羽生栄光教会のホームページへ戻る

Q.7

問い
神の聖定とは、何ですか。
答え
神の聖定とは、神の御意志の熟慮による永遠の決意です。これによって神は、御自身の栄光のために、すべての出来事をあらかじめ定めておられるのです。

解説

問7 神の聖定(せいてい)とは何ですか。

答 神の聖定とは、神の御意志の計(はか)らいによる永遠の計画です。これによって神は、御自身の栄光のために、起こってくることを何でもすべて、あらかじめ定めておられます(1)。

Q.7. What are the decrees of God?

A.The decrees of God are, his eternal purpose, according to the counsel of his will, whereby, for his own glory, he hath foreordained whatsoever comes to pass.

(1)エフェソ1:4 天地創造の前に、キリストにあって私たちをお選びになりました。私たちが愛の内に御前で聖なる、傷のない者となるためです。

エフェソ1:11 キリストにあって私たちは、御心のままにすべてのことをなさる方のご計画に従って、前もって定められ、選び出されました。

ローマ9:22-23 神が怒りを示し、ご自分の力を知らせようとしておられたが、滅びることになっていた怒りの器を、大いなる寛容をもって耐え忍ばれたとすれば、どうでしょうか。それも、栄光を与えようと準備しておられた憐れみの器に対して、ご自分の豊かな栄光を知らせてくださるためであったとすれば、どうでしょうか。

【解説】

①小教理は、問4から問6で、神様について告白しました。続く問7では、神様の聖定について告白しています。「神の聖定とは、神の御意志の計(はか)らいによる永遠の計画です」。以前用いていた榊原訳では、「計画」(purpose)を「決意」と翻訳していました。神の聖定とは、神の御意志の計らいによる永遠の計画・決意であるのです。

②私たちは、問4で「神は、その存在、知恵、力、聖、義、いつくしみ、まことにおいて、無限、永遠、不変の霊です」と告白しました。また、問5と問6で、神がひとりであること、そのひとりの神に御父(おんちち)と御子(みこ)と聖霊(せいれい)という三つの位格(いかく)があることを告白しました。その三位一体の神の御意志の計らいによる永遠の計画・決意が聖定なのです。

③ここでの「永遠」は、時間と空間を造られた神様の領域・次元を意味します。神様は時間と空間を造られる前に、すべての出来事をあかじめ定められました。その聖定の中に私たち人間は生かされているのです。

④神様の聖定には「御自身の栄光のために」という目的があります。「神は、御自身の栄光のために、起こってくることを何でもすべて、あらかじめ定めておられます」。ここでの「起こってくることを何でもすべて」の中には、偶然や人間の自由意志、さらには人間の罪さえ含まれます(ウェストミンスター信仰告白3章1節参照)。神様は罪の作者ではありませんが、人間の罪を許容され、それを用いて御自身の栄光を現すことをよしとされました。その代表的な例が、イエス・キリストの十字架です。神様は、イエス様を十字架につけるという人間の罪を許容され、その罪を用いて御自身の栄光を現されたのです(『創世記』のヨセフ物語、特に、50章20節「あなたがたは私に悪を企てましたが、神はそれを善に変え、多くの民の命を救うために、今日のようにしてくださったのです」参照)。

⑤神様が御自身の栄光のために、すべての出来事をあらかじめ定めておられるゆえに、私たちはイエス・キリストを信じることができました。証拠聖句であるエフェソの信徒への手紙1章4節と11節に記されているように、神はキリストにあって私たちを選ばれたのです。キリストにあって選ばれ、神様の愛を知った私たちにとって、神様の聖定の中に生かされていることは、本当に心強い、慰めに満ちたことであるのです(ローマ8:28「神を愛する者たち、つまり、ご計画に従って召された者のためには、万事が共に働いて益となるということを、私たちは知っています」参照)。

【参考】

①ウェストミンスター信仰告白 第3章「神の永遠の聖定について」

[1]神は、全くの永遠から、御自身の意志の最も賢く聖(きよ)い意向によって、じっさい、起こりくる事を何でもすべて、自由に、また不変的に定められた(1)。とはいえ、それによって、神が罪の創始者にならず(2)、また、被造物の意志に暴力が加えられることもなく、さらにまた、第二原因の自由や偶然性が取り去られず、かえって確立されるような仕方で、そうされたのである(3)。

(1)エフェソ1:11、ローマ11:33、ヘブライ6:17、ローマ9:15、18

(2)ヤコブ1:13、17、Ⅰヨハネ1:5

(3)使徒2:23、マタイ17:12、使徒4:27、28、ヨハネ19:11、箴言16:33

②ウェストミンスター大教理問答

問12 神の聖定とは何ですか。

答 神の聖定とは、神の御意志の意向による、賢く、自由な、聖(きよ)い決定です(1)。これによって神は、全くの永遠から、御自身の栄光のために、時間の中で起こってくることを何でもすべて、特に天使と人間に関して、不変的に、あらかじめ定めておられます(2)。

(1)エフェ1:11、ロマ11:33、ロマ9:14、15、18、(2)エフェ1:4、11、ロマ9:22、23、詩33:11

問13 神は、天使と人間に関して、特に何を聖定しておられますか。

答 神は、永遠で不変の聖定により、御自身の完全な愛から、しかるべき時に現される神の栄光ある恵みが賛美されるために、ある天使たちを栄光へと選ばれ(1)、またキリストにおいて、ある人間たちを永遠の命へと、その手段とともに選ばれました(2)。さらに神は、御自身の主権的力と、御自身の意志の計り知れない意向(それによって神は、よしとされるままに愛顧を施しまた控えもなさいます)に従い、自らの正義の栄光が賛美されるように、その他の者たちを見過ごし、自らの罪のために科される恥辱と怒りにあらかじめ定められました(3)。

(1)Ⅰテモ5:21、(2)エフェ1:4-6、Ⅱテサ2:13、14、(3)ロマ9:17、18、21、22、マタ11:25、26、Ⅱテモ2:20、ユダ4、Ⅰペト2:8 

天地創造の前に、キリストにあって私たちをお選びになりました。私たちが愛の内に御前で聖なる、傷のない者となるためです。エフェソの信徒への手紙 1章4節
村田寿和 牧師