問25.キリストは、どのようにして祭司職を果た…

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Q.25

問い
キリストは、どのようにして祭司職を果たされますか。
答え
キリストが祭司職を果たされるのは、神の正義を満足させて私たちを神に和解させるために、御自身をいけにえとしてただ一度ささげられたこと、また私たちのためにとりなし続けてくださることにおいてです。

解説

問25 キリストは、祭司の職務をどのように遂行されますか。

答 キリストは、神の義を満たしてわたしたちを神に和解させるために(1)、御自身をいけにえとしてただ一度献(ささ)げたことと(2)、わたしたちのために絶えず執り成しをされることによって(3)、祭司の職務を遂行されます。

Q.25. How doth Christ execute the office of a priest?

A.Christ executeth the office of a priest, in his once offering up of himself a sacrifice to satisfy divine justice, and reconcile us to God; and in making continual intercession for us.

(1)ヘブライ2:17 それで、イエスは、神の前で憐れみ深い、忠実な大祭司となって、民の罪を宥めるために、あらゆる点できょうだいたちと同じようにならなければなりませんでした。

(2)ヘブライ9:14 まして、永遠の霊によってご自身を傷のない者として神に献げられたキリストの血は、私たちの良心を死んだ行いから清め、生ける神に仕える者としないでしょうか。

ヘブライ9:28 キリストもまた、多くの人の罪を負うためにただ一度身を献げられた後、二度目には、罪を負うためではなく、救いをもたらすために、ご自分を待ち望んでいる人々に現れてくださるのです。

(3)ヘブライ7:24-25 しかし、イエスは永遠に生きているので、変わることのない祭司職を持っておられるのです。それで、ご自分を通して神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。この方は常に生きていて、彼らのために執り成しておられるからです。

【解説】

①小教理は、問23で「キリストは、わたしたちの贖い主として、謙卑と高挙のいずれの状態においても、預言者と祭司と王の職務を遂行されます」と告白しました。問25は、キリストの祭司の職務について告白しています。「キリストは、神の義を満たしてわたしたちを神に和解させるために、御自身をいけにえとしてただ一度献げたことと、わたしたちのために絶えず執り成しをされることによって、祭司の職務を遂行されます」。

②祭司とは神様と人間との間に立って仲介する者です。神様はイスラエルの民に動物犠牲を献げるように命じられました(レビ記参照)。その動物犠牲を献げるのが祭司の働きでした。なぜ、神様はイスラエルの民に動物犠牲を献げるように命じられたのでしょうか。それは、イスラエルの民に、自分たちが神の御前に罪人であり、その罪は死に値することを教えるためです。神様は罪を償ういけにえとして動物をささげることを命じることにより、人間は本来神の御前に立つことのできない罪人であり、その罪は死に値することを教えられたのです。そして、この動物犠牲は、イエス・キリストの贖いを指し示すものであったのです。

③イエス・キリストは私たちの大祭司として、十字架のうえでご自身をささげてくださいました。イエス・キリストの祭司職のユニークな点は、大祭司であるイエス・キリストが、御自身を全世界の罪のための宥めの献げ物としてささげられたことです(一ヨハネ2:2参照)。『ヘブライ人への手紙』の第9章11節から14節に次のように記されています。「しかしキリストは、すでに実現している恵みの大祭司として来られました。人の手で造られたのではない、すなわち、この世のものではない、もっと大きく、もっと完全な幕屋を通り、雄山羊や若い雄牛の血によってではなく、ご自身の血によってただ一度聖所に入り、永遠の贖いを成し遂げられたのです。雄山羊や雄牛の血、また雌牛の灰が、汚れた者たちに振りかけられて、彼らを聖別し、その身を清めるとすれば、まして、永遠の霊によってご自身を傷のない者として神に献げられたキリストの血は、私たちの良心を死んだ行いから清め、生ける神に仕える者としないでしょうか」。イエス・キリストは、ご自身の血によって永遠の贖いを成し遂げられることによって、旧約の動物犠牲に代表される儀式律法を廃止されたのです(ヘブライ10:9、ウェストミンスター信仰告白19:3参照)。

④イエス・キリストは十字架の死によって、神の正義を満足させ、神様と私たちとを和解させてくださいました。そして、今もイエス・キリストは、御自分の贖いの御業を根拠にして、父なる神の右の座で、私たちのために執り成しておられます。『ヘブライ人への手紙』の第7章22節から25節に次のように記されています。「このようにして、イエスはいっそう優れた契約を保証する方となられたのです。また、レビの系統の祭司たちの場合、死というものがあるので、いつまでも務めを続けることができず、大勢の人が祭司となりました。しかし、イエスは永遠に生きているので、変わることのない祭司職を持っておられるのです。それで、御自分を通して神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。この方は常に生きていて、彼らのために執り成しておられるからです」。イエス・キリストは永遠の大祭司として、私たちのために執り成しておられます。それゆえ、私たちは、イエス・キリストの御名によって祈り、堂々と恵みの座に近づくことができるのです(ヘブライ4:16参照)。

【参考】

①ウェストミンスター大教理問答

問44 キリストは、祭司の職務をどのように遂行されますか。

答 キリストは、御自身の民の罪を償うために(1)、御自身を傷のないいけにえとしてただ一度神に献げられたことと(2)、彼らのために絶えず執り成しをされることによって(3)、祭司の職務を遂行されます。

(1)ヘブ2:17、(2)ヘブ9:14、28、(3)ヘブ7:25

②ウェストミンスター信仰告白 第8章「仲介者キリストについて」

[5]主イエスは、その完全な従順と、永遠の御霊によってただ一度御自身を神に献げられたそのいけにえにより、御父の義を完全に満足させられた(1)。そして御父がかれに与えられたすべての者たちのために、和解だけでなく、天の御国の永遠の相続財産をも獲得されたのである(2)。

(1)ローマ5:19、ヘブライ9:14、16、ヘブライ10:14、エフェソ5:2、ローマ3:25、26、(2)ダニエル9:24、26、コロサイ1:19、20、エフェソ1:11、14、ヨハネ17:2、ヘブライ9:12、15

[6]贖いの御業は、キリストの受肉後まで、かれによって現実にはなされなかったが、それにもかかわらず、それの力と効果と益は、さまざまの約束と予型といけにえにおいて、また、それらによって、世の初めからあらゆる時代を通じて連続して、選ばれた者たちに分かち与えられた。それらの約束、予型、いけにえにおいて、キリストは蛇の頭を打ち砕くべき女の子孫、また世の初めから屠られた小羊として啓示され、指し示されていたのである。キリストはきのうも今日も、また永遠に変わることのない方である(1)。

(1)ガラテヤ4:4、5、創世3:15、黙示録13:8、ヘブライ13:8

③ウェストミンスター信仰告白 第19章「神の律法について」

[3]一般に道徳律法と呼ばれるこの律法のほかに、神は未成年の教会としてのイスラエルの民に、儀式律法を与えることをよしとされた。これはさまざまな予型的規定を内容としているが、それらの規定の一部は、キリストとその恵みの賜物・その行為・苦難・利益をあらかじめ表す礼拝の規定であり(1)、また一部は、道徳的義務についてのさまざまの教えを提示するものであった(2)。これらの儀式律法はすべて、今、新約のもとでは廃止されている(3)。

(1)ヘブライ9章、ヘブライ10:1、ガラテヤ4:1~3、コロサイ2:17、(2)Ⅰコリント5:7、Ⅱコリント6:17、ユダ23、(3)コロサイ2:14、16、17、ダニエル9:27、エフェソ2:15、16

しかし、イエスは永遠に生きているので、変わることのない祭司職を持っておられるのです。それで、ご自分を通して神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。この方は常に生きていて、彼らのために執り成しておられるからです。ヘブライ人への手紙 7章24節~25節
村田寿和 牧師