問13.私たちの最初の先祖たちは、創造された状…

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Q.13

問い
私たちの最初の先祖たちは、創造された状態で続きましたか。
答え
自分の意志の自由に任されていた私たちの最初の先祖たちは、神に罪を犯すことによって、創造された状態から堕落しました。

解説

問13 わたしたちの最初の先祖たちは、創造された状態にとどまりましたか。

答 わたしたちの最初の先祖たちは、彼ら自身の意志の自由にまかされていたところ、神に対して罪を犯すことによって、創造された状態から堕落しました(1)。

Q.13. Did our first parents continue in the estate wherein they were created?

A.Our first parents, being left to the freedom of their own will, fell from the estate wherein they were created, by sinning against God.

(1)創世3:6~8 女が見ると、その木は食べるに良く、目には美しく、また、賢くなるというその木は好ましく思われた。彼女は実を取って食べ、一緒にいた夫にも与えた。そこで彼も食べた。すると二人の目が開かれ、自分たちが裸であることを知った。彼らはいちじくの葉をつづり合わせ、腰に巻くものを作った。その日、風の吹く頃、彼らは、神である主が園の中を歩き回る音を聞いた。そこで人とその妻は、神である主の顔を避け、園の木の間に身を隠した。

 創世3:13 神である主は女に言われた。「何ということをしたのか。」女は答えた。「蛇がだましたのです。それで私は食べたのです。」

 コヘレト7:29 ただし、見よ、これを私は見いだした。/神は人間をまっすぐに造ったのに/人間はさまざまな策略を練ろうとするのだ。

【解説】

①小教理は、問12で、神様が創造された状態にあった人に対して特別な摂理の行為をされたと告白しました。神様は、はじめの人アダムをエデンの園に住まわせ、「園のどの木からでも取って食べなさい。ただ、善悪の知識の木からは、取って食べてはいけない。取って食べると必ず死ぬことになる。」と言われました(創世2:16、17)。私たちの最初の先祖たちは、この掟を守ることができたのでしょうか。いいえ。「わたしたちの最初の先祖たちは、彼ら自身の意志の自由にまかされていたところ、神に対して罪を犯すことによって、創造された状態から堕落しました」。

②「私たちの最初の先祖たち」とは、はじめの人アダムとその助け手として造られた女のことです。アダムと女は「彼ら自身の意志の自由にまかされてい」ました。神様は人をご自分のかたちに似せて造られました。それは、アダムと女を自由な意志を持つ者として造られたと言うことです。神様は人間をプログラムに従って動くロボットのように造られたのではなく、善にも悪にも強制されない自由な意志を持つ者として造られたのです。つまり、神様は人間を御自分との愛の交わりに生きる者として造られたのです。

③私たちの最初の先祖たちは、彼ら自身の意志の自由にまかされていたわけですから、善悪の知識の木から食べるという決断もできたし、また食べないという決断もできました。堕落したアダムの子孫である私たちは、生まれながらに罪があり、悪へと傾いています(問18参照)。しかし、創造された状態のアダムと女には罪がないので、神の掟を守って善を行うか、神の掟に逆らって悪を行うかは、彼ら自身の意志の自由にまかされていたのです。そして、彼らは自分自身の意志によって、禁じられていた木の実から取って食べるという罪を犯すことにより、「創造された状態から堕落」したのです。

④「創造された状態」とは、神様が「それは極めて良かった」と言われた良き創造の状態のことです(創世1:31)。私たちの最初の先祖たちは、神様に罪を犯すことによって、良き創造の状態から堕落してしまいました。そのようにして、神様が創造された良き世界に、罪と死が入り込んできたのです。罪と死の責任は、自分の意志の自由にまかされていた私たちの最初の先祖たちにあるのです。

【参考】

①ウェストミンスター大教理問答

問21 人間は、神が最初に創造された状態にとどまりましたか。

答 わたしたちの最初の先祖たちは、彼ら自身の意志の自由にまかされていたところ、サタンの誘惑により、禁じられていた果実を食べて神の戒めに違反しました。それによって彼らは、創造された時の無罪の状態から堕落しました(1)。

(1)創3:6−8、13、コヘ7:29、Ⅱコリ11:3

②ウェストミンスター信仰告白 第6章「人間の堕落と罪とそれの罰について」

[1]われわれの最初の先祖は、サタンの狡猾と誘惑にそそのかされて、禁じられた果実を食べることによって罪を犯した(1)。この彼らの罪を、神は、その賢い聖なる意向に従って、御自身の栄光に役立てようとして、許容することをよしとされた(2)。

(1)創世3:13、Ⅱコリント11:5

(2)ローマ11:32

③ウェストミンスター信仰告白 第9章「自由意志について」

[1]神は人間の意志に自然本性的自由を賦与しておられる。すなわち、人間の意志は強制されていないし、また自然本性の絶対的必然性によって、善あるいは悪へと向けられてもいない(1)。

(1)マタイ17:12、ヤコブ1:14、申命30:19

[2]人間の無罪の状態においては、善であって神に喜ばれることを意志し行う自由と力を持っていた(1)。しかし、それにもかかわらず、それは可変的な仕方においてであって、それゆえ人間はその状態から堕落することもあり得た(2)。

(1)コヘレト7:29、創世1:26、(2)創世2:16、17、創世3:6

[3]人間は罪の状態に堕落することによって、救いに伴ういかなる霊的善にも向かう意志の能力をすべて全く失っている(1)。したがって、生まれながらの人間は、そのような善に全く逆らい(2)、罪の中に死んでいるので(3)、自分自身の力では、自分で回心することも、回心の備えをすることもできない(4)。

(1)ローマ5:6、ローマ8:7、ヨハネ15:5、(2)ローマ3:10、12、(3)エフェソ2:1、5、コロサイ2:13、(4)ヨハネ6:44、65、エフェソ2:2〜5、Ⅰコリント2:14、テトス3:3〜5

[4]神は、罪人を回心させて、恵みの状態に移されるとき、彼をその生まれながらの罪への隷属状態から解放される(1)。そしてただ御自身の恵みによって、彼が霊的に善であることを自由に意志し、行うことができるようにされる(2)。それにもかかわらず、彼は自分に残存している腐敗のために、善であることを完全に意志することも、またそれだけを意志することもなく、悪であることをもじっさい意志するのである(3)。

(1)コロサイ1:13、ヨハネ8:34、36、(2)フィリピ2:13、ローマ6:18、22、(3)ガラテヤ5:17、ローマ7:15、18、19、21、23

[5]人間の意志は、ただ栄光の状態においてのみ、完全かつ不変的に、ただ善にのみ自由に向かうようにされる(1)。

(1)エフェソ4:13、ヘブライ12:23、Ⅰヨハネ3:2、ユダ24

女が見ると、その木は食べるに良く、目には美しく、また、賢くなるというその木は好ましく思われた。彼女は実を取って食べ、一緒にいた夫にも与えた。そこで彼も食べた。創世記 3章6節
村田寿和 牧師