2025年12月11日「神は心を見る　４」

　ここ暫く、神が私たちの心を見ておられ、それを私たちが知っていることが如何に幸いかを学んで来ました。第一にこれは罪と不信仰から私たちを少しでも守りますし、第二に人に誤解されるといった辛い状況にあっても、私たちの心と魂が守られます。第三にこれにより、人や世の中の悪や罪に振り回されて自分を失う危険からも私たちは守られます。感謝なことですね。

　今日で一連の学びを終ります。今日学ぶ幸いの四つ目は、私たちが人によく分ってもらえない苦しみや悲しみや辛さの中でも、神が分っていて下さるので、大きな慰めや平安、勇気や希望を頂けるという幸いです。

　私たちはこの世で全く予期しない苦難や試練に遭うことがあります。自分の存在が根底から揺さぶられ、パニックに陥り、底知れない不安や絶望に打ちのめされそうになることが起ります。

　そういう時に私たちを襲う思いの一つは、「私の気持は誰にも分らない。私は独りぼっちだ」という深い孤独感です。孤独の問題は現代社会で深刻なものになっていますが、重い障害や病気など試練の中にある方々には、常に大きな問題です。

　苦しみや悲しみは、誰かが一緒にいて分ってくれるなら結構耐えられますが、全く独りぼっちですと、耐えられるものも耐えられなくなります。私たちはまことに弱い存在です。

　しかし、ここで聖書は私たちに大きな力を与えます。それは、孤独の中で誰にも話せず、話しても私たちが願うほど人に分ってもらえず、却って一層淋しく惨めになるばかりなので、いっそのこと黙っていようという閉ざされた気持になる位、私たちの心と魂が弱り果て、また神に祈ることすらできない位、心が動揺し、混乱し、落ち込んでいる時でも、神が私たちの心の呻きや叫びを全て分って下さるという事実です。

　すなわち、主イエスの遣わされる御霊（みたま）が、私たち信仰者の心の内を本当に分って下さり、父なる神に執り成して下さるという福音です。ローマ人への手紙8:26､27は言います。「同じように御霊も、弱い私たちを助けて下さいます。私たちは、何をどう祈ったら良いか分からないのですが、御霊ご自身が、言葉にならない呻きをもって、執り成して下さるのです。人間の心を探る方は、御霊の思いが何であるかを知っておられます。何故なら、御霊は神の御心に従って、聖徒たちのために執り成して下さるからです。」

　大きな問題や恐れ、不安で心を打ちひしがれ、それを誰にも分ってもらえず、また自分でも何をどう祈れば良いのか分らない！何と辛いでしょう。

　しかし、ここで思い出したいと思います。救い主・主イエスを見上げ、イエスに自分を全く明け渡し、一切を委ねる者には、イエスの御霊が働かれ、御霊は私たちの言葉にならない呻きや叫びもお分りになり、しかも「御霊は神の御心に従って、聖徒たちのために執り成して下さる」と聖書ははっきり教えているのです。

　それと、私たちは自分ではこれが一番良いと思っても、本当は何が最善なのか分らないことも結構多いですね。しかし御霊は、主イエスを信じ仰ぐ者にとって真に必要なこと、すなわち、私たちのための神の永遠のご計画が成って行く上で、何が最善かをよくご存じです。つまり、私たちのために一番優れた神の賢い知恵とご計画が成るようにと、最善の執り成しをして下さるのです。

　悲しみや不安、淋しさを誰かに分ってもらえることは、本当に嬉しいです。力や勇気、希望が湧いて来ます。ですから、私たちは努めて少しでも人の苦しみ、痛み、辛さ、悲しみを互いに分り合える者でありたいと思います。

　しかし残念なことに、人間には限界があります。どんなに親しい肉親でも優しい友人でも、私たちの全てを分ることは無理です。そして、そのことで人を責めることはできません。自分も同じだからです。

　だからといって、私たちは孤独の中で絶望したり自暴自棄になる必要はありません。何故なら、御子イエスを救い主として賜ったほどに私たちを愛しておられる父なる神が、御霊により、私たちの心を本当に全て分って下さるからです。御霊は誰にも分らない私たちの心の奥底までもご存じであり、しかも神は御子イエスに頼る者に、その知恵と力により一番必要な時に一番必要な助けを与え、支えて下さいます。誰にも何にも私たちを渡されません。神は御子を信じる者に、ご自身の名誉と威信にかけてそうなさいます。

　辛い時、サタンは強く私たちに働き、神を疑わせようとします。しかし、全知全能の神は私たちを分っておられます！このことを私たちは自分にキチンと説教をし、そうして神の愛と知恵の広さ、長さ、高さ、深さに全く自分を委ねたいと思います。