2024年12月26日「神の選びの理由と目的」

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神の選びの理由と目的

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
ルカによる福音書 2章15節~20節

聖句のアイコン聖書の言葉

2:15 御使いたちが彼らから離れて天に帰ったとき、羊飼いたちは話し合った。「さあ、ベツレヘムまで行って、主が私たちに知らせてくださったこの出来事を見届けて来よう。」
2:16 そして急いで行って、マリヤとヨセフと、飼葉桶に寝ているみどりごとを捜し当てた。
2:17 それを目にして羊飼いたちは、この幼子について自分たちに告げられたことを知らせた。
2:18 聞いた人たちはみな、羊飼いたちが話したことに驚いた。
2:19 しかしマリアは、これらのことをすべて心に納めて、思いを巡らしていた。
2:20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて御使いの話のとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。ルカによる福音書 2章15節~20節

原稿のアイコンメッセージ

クリスマスは昨日でした。しかし、キリスト教伝統の長いヨーロッパでは、マタイの福音書2章が伝えます異邦人である博士たちがイエスを礼拝することの出来た公現節と呼ばれる1月6日まで祝いは続きます。その点から見て、今日12月26日もクリスマス関連のことを取り上げて良いでしょう。ルカが伝えている羊飼いたちのことで、今日は少し考えてみます。

 先日、ある人が「何故、羊飼いにも救い主誕生の知らせが来たのだろう」とある集会で質問なさったと聞きました。私はそういう疑問を持ったことがなく、「あぁ、なるほど」と思いました。

 そこで考えてみます。何故、羊飼いたちにも救い主の誕生が知らされたのでしょうか。その知らせが御使い(みつかい)からあったことは、すごいことですね。何という光栄でしょう。しかし、沢山(たくさん)の人の中で、何故、羊飼いなのでしょう。どんな理由によるのでしょう。彼らが他の人より優れていて、すごく真面目だったからでしょうか。或いは、昔のユダヤで辛い境遇にいた人たちだったからなのでしょうか。彼ら以上に真面目だとか、辛い境遇の人たちは、他にも一杯いたはずです。何故、彼らなのでしょう。

 これは「分らない」としか答えようがありません。これは私たち自身に置き換えてみると、よく分ると思います。私たち今クリスチャンである者には、キリスト教、或いはイエス・キリストと真(まこと)の神を知るようになったきっかけ、もしくは理由として、自分なりに思い当るものはあるかも知れません。けれども、同じような人は、私たちの周りにも世界にも無数にいます。その中で、何故私たちなのでしょうか。

 私たち自身にその究極の理由、原因はありません。それはただ神が私たちを愛し、一方的に選ばれたからに他なりません。エペソ1:4、5は言います。「…神は、世界の基が据えられる前から、この方(=イエス・キリスト)にあって私たちを選び、御前に聖なる、傷のない者にしようとされたのです。神は、御心の良しとする所に従って、私たちをイエス・キリストによってご自分の子にしようと、愛をもって予め定めておられました。」

 これは旧約時代にイスラエルが主の民とされたことでも同じでした。申命記7:7、8でモーセは言いました。「主があなた方を慕い、あなた方を選ばれたのは、あなた方がどの民よりも数が多かったからではない。事実あなた方はあらゆる民の内で最も数が少なかった。しかし、主があなた方を愛されたから、またあなた方の父祖たちに誓った誓いを守られたから、主は力強い御手をもってあなた方を導き出し、奴隷の家から、エジプトの王ファラオの手からあなたを贖い出されたのである」と。

 私たちは、自分の側にそれらしい原因や理由を見出せないと、やや不満に思うような所があると思います。しかし永遠の救いに関しては、全く神の一方的な選び、それも愛による選び以外に答はありません!イエス誕生時に羊飼いたちに良き知らせがあったのも、これ以外に理由はありません。この事実に、私たちはただ感謝をもって留まりたいと思います。

 ところで、このことに関して、もう一つ心に留めておきたいことがあります。それは、神が御子の誕生を羊飼いたちに知らされた「目的」です。知らされた原因や理由は、全く神の側の、すなわち、神の一方的な愛とそれ故の神の側からの選びによりますが、もう一つ心に留めたいことは、選びの目的です。これは私たちについても同じです。それは何でしょうか。神が御子イエスを私たち罪人の救い主として賜った素晴らしい出来事についての知らせ、つまり福音を、私たちが感謝と喜びをもって周囲の人に知らせることです。

 羊飼いたちは、ルカ2:17、18が伝えるように、幼子イエスのことを人々に知らせました。夜、家畜小屋に急に羊飼いたちが集まり、そこから出てきた彼らの顔は喜びに輝いている!それを見た人々は、何が起ったのかと尋ね、羊飼いたちは嬉々として答えたわけです。

 救い主誕生を羊飼いたち知らされた理由は分らなくても、知らされた目的はハッキリしています。私たちも同じです。イスラエルの選びも同じです。神のただ愛による選びに驚き、絶大な永遠の救いに感謝し、主を讃える!それと共に、私たちが生かされている間、内面の喜びから滲み出る笑顔と真摯な言葉、またテトス2:10が教えますように、御言葉に、律法に従う生活により、「私たちの救い主である神の教え(=福音)を飾る」ことで、私たちが出会う方々に少しでも主を知らせることを、神は期待しておられるのです。

 更に言いますと、かつて神が創世記12:2、3でアブラハムに言われたように、私たちが多くの隣人の祝福の基とされ、私たちを通して、イエス・キリストを知る喜びの連鎖、感謝の連鎖、そして愛の連鎖が、もっともっと多くの方々に広がるためです。

 今この時期、主がこの思いを私たちの内に改めて強めて下さり、私たちを愛しお選びになられた神の愛に、どうか、喜んで応えさせて下さいますように!アーメン!

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