2023年04月17日「十戒の学び38 第六戒9」

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十戒の学び38 第六戒9

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
出エジプト記 20章13節

聖句のアイコン聖書の言葉

20:13 殺してはならない。出エジプト記 20章13節

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 第六戒の学びも、今日で9回目となります。

 第六戒は、言葉は短いですが、これが持つ意味は深く、色々なことに関係します。安楽死、尊厳死、妊娠中絶など、他にもあるでしょう。ただ、今日は、人間の特に魂と永遠の命に関係することとして、第六戒を考えてみたいと思います。

 まず、消極面から言いますと、自分と他人の魂を滅びに至らせることを心底恐れ、積極面から言いますと、自分と他人の魂が救われ、神と共に永遠に生きることができるように心を傾けて取り組むことです。

 主イエスはマタイ5:22で「私はあなた方に言います。兄弟に対して怒る者は、誰でも裁きを受けなければなりません。兄弟に『ばか者』と言う者は最高法院で裁かれ、『愚か者』と言う者は、火の燃えるゲヘナに投げ込まれます」と言われました。私たちのよく知っている御言葉ですが、実際の殺人以前の、特に人への強い怒りや愚弄する言葉による人格否定という形での殺人行為の恐ろしさを、イエスは私たちにお教えになります。

 人への怒りや憎しみが実際の殺人を引き起す例は、枚挙に暇(いとま)がありません。しかし、人を見下し、蔑み、嘲り、罵倒する言葉が、人の心を突き刺し、切り裂く凶器となり、人の人格を叩き潰す暴力となって、実際に人を死に至らせることもあります。私たちはその恐ろしさも学びました。言葉は、使い方次第で、凶器また暴力となり、人を深く傷つけ、殺しかねません。ですから、ヤコブ1:19「人は誰でも、聞くのに早く、語るのに遅く、怒るのに遅くありなさい」という教えを、私たちは何度自分に言い聞かせても、十分ということはないでしょう。

 更に言いますと、私たちの不信仰な言葉や態度や行動によって人を躓かせ(つまずかせ)、福音から遠ざけ、罪と不信仰へ導き、滅びに至らせることがないように、魂の領域でも第六戒「殺してはならない」を忘れたくないと思います。

 イエスは言われます。マタイ18:6、7「私を信じるこの小さい者たちの一人を躓かせる者は、大きな石臼を首にかけられて、海の深みに沈められる方が良いのです。躓きを与えるこの世は災いです。躓きが起るのは避けられませんが、躓きをもたらす者は災いです。」

 躓きは、人へのものだけではありません。自分に甘く、自分を罪から遠ざけないことで、自分の魂を滅ぼすこともあります。先程のマタイ18:6、7に続く8、9節で、誇張した表現ですが、イエスは非常に強くこう警告されます。「あなたの手か足があなたを躓かせるなら、それを切って捨てなさい。片手片足で命に入る方が、両手両足揃ったままで永遠の火に投げ込まれるよりは、良いのです。また、もしあなたの目があなたを躓かせるなら、それを抉り出して捨てなさい。片目で命に入る方が、両目揃ったままゲヘナの火に投げ込まれるより良いのです。」

 以上、魂の次元におけます第六戒を消極的な面から見ました。

  次に積極的な面から見たいと思います。積極的な面とは、もうお分りのように、福音と主イエス・キリストへの信仰により、自分と人の魂の救い、その完成、そして永遠の命のために、私たちが熱心を傾けて取り組むことです。

旧約聖書のエゼキエル18:32で、神は背信のイスラエルにこう言われました。「私は、誰が死ぬのも喜ばない-神である主の言葉-。だから、立ち返って、生きよ。」アモス5:4も言います。「主はイスラエルの家にこう言われる。『私を求めて生きよ。』」

 私たちを創られた神は、私たちをどんなに愛して下さっていることでしょう。ですから、私たちが「生きる」こと、すなわち、神との生きた麗しい最高の交わりである永遠の命に私たちが与り(あずかり)、ますますそれが豊かになることを熱く願っておられます。そして、そのための恵みの一切合切は、御子、主イエス・キリストの内にあります。

 従って、親しい方々の救いのために、まず私たち自身がⅠテサロニケ5:16~18が言いますように、イエス・キリストにしっかりつながって、いつも喜び、絶えず祈り、どんなことにも感謝し、テトス2:10が言いますように、神の教えを飾ることのできる者へと、是非、清められたいと思います。

 またそのために、ウェストミンスター小教理問答の問88が言いますように、御言葉と聖礼典と祈りという大切な恵みの手段に与ることに、私たち自身が一層、自覚的に努め、御霊により主イエスが私たちの内にますます生きて下さり、ご自分の命で満たして下さることを、常に願いたいと思います。

 最後に、神の愛と、神がイエス・キリストにより与えて下さる永遠の命について語りますヨハネ3:16を、第六戒「殺してはならない」「生きよ」とを、心の中で重ねつつ、読んで終ります。「神は、実に、その独り子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠の命を持つためである。」

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