2023年03月30日「十戒の学び37 第六戒8」

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十戒の学び37 第六戒8

日付
説教
田村英典 牧師
聖書
出エジプト記 20章13節

聖句のアイコン聖書の言葉

20:13 殺してはならない。出エジプト記 20章13節

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 第六戒の学びを続けています。

 前回は、信仰の先輩たちが宗教改革時代に一生懸命考え、また祈り、何とかして信徒を育て、自らも成長し、キリストの体なる教会を堅固に建て上げようとして告白しましたウェストミンスター大教理問答の問135を学び、大変教えられました。そこで、今日ももう少し学んでみたいと思います。

 前回同様、少し長いですが、宮崎彌男訳で読みます。

 問135「第六の戒めで求められている義務は、何ですか。」

 答「第六の戒めで求められている義務は、自分自身及び他の人たちの生命を守るために、あらゆる角度から周到な検討を重ね、合法的な努力を惜しみなく傾けることです。

それは、次のことによって達成されます。誰の生命であれ、それを不当に奪うこととなるあらゆる思いと企てに抵抗し、そのような感情を残らず抑制し、そのような機会と誘惑と行動をことごとく避けること、暴力から生命を守る正当防衛、神の御手をたゆまずに耐え忍ぶこと、心の平静さ、気分の晴れやかさ、食べ物・飲物・医薬・睡眠・労働・娯楽について度をわきまえること、思い遣りの心・愛・同情心・柔和・優しさ・親切、穏やかで温かく、礼儀正しい言葉遣いや振る舞い、心の広さ、進んで人と和らぐこと、不当な仕打ちを忍んで耐え、赦すこと、悪に報いるのに善をもってすること、悩んでいる者を慰め、助け、罪のない者の身を守り、弁護することです。」

 何度も申しますが、よくこれだけのことに気付き、告白できたものだと、本当に驚きます。何とかして皆で神に喜ばれる者になりたいと願う、その真直ぐな信仰と熱心が伝わって来ます。

 前回は三つの点を取り上げましたが、その三つ目は、自分と他の人の命を守る上で、色々な点によく気を付け、良いと思われることにはしっかり取り組む、その意味での知恵の重要性ということでした。その点をもう少し見てみたいと思います。

 繰り返しますが、大教理は「心の平静さ、気分の晴れやかさ、食べ物・飲物・医薬・睡眠・労働・娯楽について度をわきまえること」にまで触れています。この中で、前回殆ど触れられませんでしたのが「食べ物・飲物・医薬・睡眠・労働・娯楽について度をわきまえること」という所です。

 第六戒のテーマは「命」です。そして命は、マタイ25:14以降の主イエスの語られた譬によって言えば、この世で暫くの間、私たちが神から預けられているとても大切なタラントです。その大切なタラントである命を、私たちはやがていつか神にお返ししますが、生きている今、命を活用して神の栄光を現し、神を喜ぶことが、私たちの生きる最も尊い目的です(ウェストミンスター小教理問答 問1の答参照)。それを考えますと、大教理のこの部分の重要性がよく分ると思います。

 そこで、「食べ物」を取り上げてみます。食べ物は、人間としての営みの全てに必要な「命」を保持する上で不可欠です。人間は、食べ物なしでは生きられません。それだけでなく、食べ物に神は、食べる楽しみや食卓を囲む喜び、さらには生きる意欲など、精神的な力さえ添えて与えておられます。何と尊くて素晴らしいものでしょうか。

 しかし、本来はそういう尊い飲食物であっても、大教理が言いますように「度をわきまえ」ませんと、神から預かっているその大切な命を確実に傷め、縮め、命の質、いわゆるQOL(quality of life)を低めます。罪の力とサタンは、正面から私たちに挑むだけでなく、本来は祝福また喜び、楽しみである物にも、巧妙に働き、健康を損ねさせ、命を縮めさせ、命を奪います。

 ここに知恵が必要であり、特に御霊を心底求める真剣な祈りが、絶対に必要です。というのは、ガラテヤ5:22、23が言いますように、御霊の実の一つは「自制」であり、「度をわきまえ」ること、つまり、自分の欲望を支配し、コントロールできる力だからです。

 こうして見ますと、大教理がこの所で述べています他の「医薬・睡眠・労働・娯楽」についても、「度をわきまえ」ることが、第六戒という大切な命の戒めに、どんなに大きく関係しているかが、よく分りますね。

 時間がもうありませんので、今日はもう一度、大教理問答の問135の最後の部分を読んで終ります。第六戒、すなわち、他の人と自分の命、またその命の質(QOL)を、神に喜ばれるようにより良い状態に保ち、神と人と自分のためにもよく活用できるように、ここの文言の一つ一つを味わうように読み、是非ご一緒に、これらに努めたいと思います。読みます。

 「思い遣りの心・愛・同情心・柔和・優しさ・親切、穏やかで温かく、礼儀正しい言葉遣いや振る舞い、心の広さ、進んで人と和らぐこと、不当な仕打ちを忍んで耐え、赦すこと、悪に報いるのに善をもってすること、悩んでいる者を慰め、助け、罪のない者の身を守り、弁護すること…。」

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