2022年07月28日「喜び、祈り、感謝」

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聖句のアイコン聖書の言葉

5:16 いつも喜んでいなさい。
5:17 絶えず祈りなさい。
5:18 全てのことにおいて感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにおいて、神があなた方に望んでおられることです。テサロニケの信徒への手紙一 5章16節~18節

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 今朝は、十戒の学びではなく、「喜び、祈り、感謝」ということを改めて心に留めたいと思います。

 聖書には、それを信じること自体が大切な御言葉があります。例えば、創世記1:1「初めに神が天と地を創造された」、ヨハネ3:16「神は、実にその独り子をお与えになった程に世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠の命を持つためである」、Ⅰテモテ2:4、5「神は、全ての人が救われて、真理を知るようになることを望んでおられます。神は唯一です。神と人との間の仲介者も唯一であり、それは人としてのキリスト・イエスです」などは、ただ信じるべきものであり、信じることで私たちは神に祝福されます。

 しかし聖書には、実践することで、私たちが祝福される教えも沢山あります。Ⅰテサロニケ5:16~18もその一つでしょう。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。全てのことにおいて感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにおいて、神があなた方に望んでおられることです。」

 喜び、祈り、感謝の三つが言われています。これらは全て、イエスへの信仰を土台とした勧めです。喜びも感謝も前向きなものです。従って、祈りも、ここでは神への嬉しい語りかけのようなものでしょう。とにかく、ここにあるのは前向きな行動の勧めです。これらは信仰により実際に行うことで、私たちを神の祝福に与らせます。

 この手紙は1世紀の中頃にパウロが書きました。テサロニケ教会の人々は、当時の世界では極普通でした偶像崇拝をきっぱりやめ、天地の造り主なる真(まこと)の神、主を信じ、神の御子イエスを救い主として心から信じ、受け入れ、依り頼む者となりました。そのため、周りの社会からは、異質な存在としてアレコレ言われる辛さの中にいました。

 けれども、パウロはそんな彼らに、ただ「忍耐しなさい」とは言わず、喜び、祈り、感謝という神の前での積極的なあり方を教えます。パウロ自身も、このように神の前で積極的に生きてきたことで、神から力や平安を頂き、試練そのものは続いていても、彼自身は守られるという体験を何度もしていましたので、ここでもそのように勧めたのでしょう。

 しかし苦しい時に、喜んだり感謝することなど、できるでしょうか。私たちの多くはこの点で躊躇するかも知れません。無論、辛さそのものに感謝することはできません。しかし、真の信仰は神の恵みに気付かせます。十字架で命を捧げられた程に私たちを愛して下さっている神の御子イエスへの信仰は、私たちがその気になれば、苦しみや辛さの中でも、なお喜び、感謝できるもののあることに気付かせます。例えば、人のちょっとした優しさや親切、気遣い、小さな可愛い花、移り変わる窓の光や影など、本当に気持次第で、神の恵みとして一つ一つ覚えることができる。すると、そこから不思議な平安や力が与えられます。

 淀川キリスト教病院で1956年から44年3か月働かれた米国長老教会の元宣教師、L.C.モーア先生ご夫妻が2006年6月末に来院され、朝の礼拝でメッセージもされました。

 その日、ご夫妻は色々な人に会われました。その中に、ドイツのフランクフルトから関西空港に戻る飛行機の中の階段で前に倒れ落ち、頬の骨を折り、手足が麻痺し、一生歩けず、箸も握れなくなると言われた位、大怪我をされたクリスチャンの患者さんがおられました。その方と旧知の間柄のモーア先生は病室へ行かれ、その方のために祈る前に、「~さん、今これを言うのは酷かも知れませんが、喜びましょう、笑いましょう」と言われたそうです。彼女は「こんな状態でどうして喜べるのか」と内心思われました。しかし、飛行機に丁度居合せ、一晩中、彼女の首の後ろを摩り続けてくれた親切なドイツ人の医者のことなどを思い出し、その通り、いくつかの点で喜び、感謝されました。すると徐々に本当に回復してこられたのでした!元気になられた彼女は、その後も、淀川キリスト教病院の老健で時々ボランティアをされ続けられました。医学的な説明も可能でしょうが、興味深いと思います。

 ヒトラーに抵抗し、1945年4月9日の早朝、フロッセンビュルク強制収容所で39歳で処刑されたドイツ人の牧師D.ボンヘッファーは、深い信仰を持った人ですが、ある本にこう書いています。「神が我々のために備えられた大きな霊的な賜物を与えようとされているのに、我々が日々の賜物に感謝しない故に、我々は神の働きを妨げているのである。」「感謝する思いこそ、人生をますます豊かにするのである。」

 喜び、祈り、感謝!これらは私たちを祝福する、神の御子イエスからの素晴らしい知恵なのです。私たちも、どうか主イエスに導かれつつ、改めて少しでもこのように自覚的に生きる者でありたいと思います。

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