2021年10月28日「神の知恵-感謝」

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聖句のアイコン聖書の言葉

3:15 キリストの平和が、あなた方の心を支配するようにしなさい。そのために、あなた方も召されて一つの体になったのです。また、感謝の心を持つ人になりなさい。
3:16 キリストの言葉が、あなた方の内に豊かに住むようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、忠告し合い、詩と賛美と霊の歌により、感謝をもって心から神に向かって歌いなさい。
3:17 言葉であれ行いであれ、何かをする時には、主イエスによって父なる神に感謝し、全てを主イエスの名において行いなさい。コロサイの信徒への手紙 3章15節~17節

原稿のアイコンメッセージ

 パウロは紀元1世紀半ば過ぎ、小アジアにあったコロサイ教会の信徒に、今お読みした所だけでも、3回も感謝しなさいと教えます。4:3の終りに書いていますが、この時、実はパウロは牢に繋がれていました。イエス・キリストの福音を伝えたため、当時のユダヤ人たちから命を狙われ、それがきっかけで捕えられ、ローマ皇帝の裁判を受けなければならず、下手をすると死刑になりかねない状態にありました。

 そんな中、彼はこの手紙を書きますが、そういう厳しい状況を全く感じさせない信仰の確信と温かい愛と配慮、そして霊的な教えに満ちています。その一連の教えの一つが、神に感謝することです。

 他の教会への手紙でも、パウロは感謝することをしばしば教えていますが、この手紙でも同じです。この箇所だけでなく、2:7では「溢れるばかりに感謝しなさい」、4:2では「たゆみなく祈りなさい。感謝をもって祈りつつ、目を覚ましていなさい」と教えています。

 しかし、何故神に感謝することをこんなにも教えるのでしょうか。クリスチャンにとって感謝することは当然だからですが、同時に、そうすることは魂にとって安全だからです。

 クリスチャンは皆、自分の罪深さと不信仰をよく自覚し、神に裁かれても何ら申し開きの出来ない自分であることを知っています。しかし、そんな自分のために神の御子イエスが十字架で命を捧げ、私たちの罪を一切合切償って下さり、そのイエスを救い主として、ただ心から信じ、受け入れ、依り頼むだけで、罪を全て赦され、永遠の命の祝福に入れられることもよく知っています。神のこの一方的な救いの愛を知り、これが、自分が生きて存在することの根底にありますので、当然、繰り返しここに立ち戻って感謝致します。

 しかしそれだけでなく、感謝することは魂にとって安全でもありますので、聖書は神への感謝を随所で教えるのです。

 嵐の時でも、錨を海底に降ろして岩盤にシッカリ引っ掛けるなら、船は安全です。同じように、私たちの心が騒ぎ、乱れ、大きく揺れ、自分が壊れそうになる時でも、このイエス・キリストによる永遠の次元における救いと神の愛を改めて覚え、小さなことでも一つ一つ自覚的に神に感謝する時、私たちの心は神に結び付いて安定し、魂は守られます。神は人をそのように造っておられます。

 不安で心がひどくざわつく時、私たちは「こんなことではいけない」と思いますが、どうにもならないことがあります。誰にも皆そんな時があるのではないでしょうか。クリスチャンは無論、神に祈ります。しかしそういう時は、祈りにも身が入らず、相変らず心は乱れています。気になっていることが頭から離れず、そのことに心が捕らわれ支配されているのです。

 そんな時、どんなに小さなことでも構いませんから、一つ一つ神に感謝してみると良いと思います。例えば、何か小さなものを床に落し、それが転がって何かの下に潜り込みますと、捜すのが大変な時があります。ところが、下を見ると、変な所へ転がらず、すぐ見つかったならば、当然嬉しいです。「良かった!」と思います。

 しかし、そういう時、ただ「嬉しい、良かった」で終らず、「神様、ありがとうございます!」と、御子イエスを賜った程に私たちを愛しておられる天の父なる神に感謝するのです。ふと空を見上げ、雲の絶妙な形や色合いを見て、「あぁ、きれいだなぁ」と思ったならば、すぐ意識的に「神様、こんなにも素晴らしい空を見せて下さり、ありがとうございます!」と神に感謝するのです。

 すると必ず私たちに変化が起ります。一層嬉しくなり、励まされ、元気が出て、気持が前向きになります。神が私たちを忘れておられないことが実感でき、神の愛がまた少し分ります。

 こういう心の変化は、私たちを、周りの人にも温かく優しい気持で接することのできる者に変え、その自分の変化に嬉しくて、また感謝したくなります。そして、先の見えない困難な問題や重い課題にも、「そうだなぁ。もう少し頑張ろうかな」とか「そうだ。神様に委ねよう」という思いに私たちを変えます。

 難題に囲まれながら、パウロも、このようにして無気力にも自暴自棄にもならず、イヤなことから早々と逃げるのでもなく、神から授かった命と人生を、最後まで主イエス・キリストと人のために捧げたのでした。

 また彼は、感謝するというこの優れた知恵を多くの人に教え、実際、多くの信仰者たちが困難の中でも意気消沈せず、神からの使命に生きることができました。私たちも、神の知恵である感謝をもっともっと意識的に実践してみたいと思います。必ず祝福されます。

 感謝という神からの知恵を、更に多くの方々と分かち合いたいと願います。神の導きと祝福とを祈りましょう。

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