2021年07月01日「祈りについて (16)」

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聖句のアイコン聖書の言葉

 4:6 何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもって献げる祈りと願いによって、あなた方の願い事を神に知っていただきなさい。
 4:7 そうすれば、すべての理解を超えた神の平安が、あなた方の心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。フィリピの信徒への手紙 4章6節~7節

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 緊急事態宣言のために、暫く休んでいましたが、今日から祈祷会を再開致します。祈りについて、16回目の学びとなります。

 今日は、祈りが神との交わりであることを改めて学びたいと思います。

 カルヴァンが、祈りを神との対話と述べたことは良く知られ、13回目の学びでこの点を紹介しました。『キリスト教綱要』Ⅲ篇20章4節で彼は言います。「祈りを正しく・適切に整えるための第一の法則は、我々が精神と魂とを、神との対話に入るものに相応しくすることをおいて外にない。」続く5節では、祈りを「神との親しい対話」と言い、16節でも「祈りというものは、敬虔な人たちが神と親しく対話することである」と言います。

 神との対話とは、神との交わりを意味します。カルヴァンの祈りについての本の中で、著者ヘッセリンクはこう記します。「ロナルド・ウォレスが結論づけているように、カルヴァンにとっては、『祈りの精神と終極の目標は、神との交わりにある』というべきである。」

 祈りが神との交わりであることは、私たちも生活の中で経験していると思いますが、この自覚が薄いと、神が折角下さった祈りの喜びや祈りを通しての神の恵みを豊かに味わうことができません。それは神に申し訳ないですし、勿体ないですね。ですから、これを改めて自覚し、その結果、祈りにおいて成長を許され、神の恵みと祝福に、より豊かに与りたいと願います。

 そこで聖書を見ます。祈りにより天の父と常に交わり、その喜びと父なる神の恵みを体験されたのは、何といっても人となられた神の御子イエス・キリストです。聖書は、イエスが地上生涯の間、実によく祈られたことを伝えています。ルカ福音書を見ますと、3:21、5:16、6:12、9:18、29、11:1、23:34、36などからそれが分かります。例えば、この中の6:12は、いよいよ明日は弟子たちの中から12人を選び、彼らに使徒という名をお与えになるというその前日のことをこう伝えています。「その頃、イエスは祈るために山に行き、神に祈りながら夜を明かされた。」12使徒の選出という重大事を前に、イエスは夜通し天の父と交わられ、御心を知ろうとされたのでした。無論、この時だけでなく、イエスは私たちの贖いのために、十字架上でもずっと祈り、天の父に語りかけ、息を引き取る直前でも御父と交わられました。

 そして興味深いことに、十字架前夜のゲツセマネの祈りにおいても十字架上の祈りにおいても、イエスの祈りの内容は徐々に変り、最後は御父に一切を委ねておられます。今年の受難週礼拝の説教で話しましたが、十字架上のイエスの最後の祈り、ルカ23:46「父よ、私の霊をあなたの御手に委ねます」は、昔のユダヤで、夜、眠ろうとする幼い子供に、母親が詩篇31:5に従って最初に教えた祈りだったそうです。自分を神の御手、神の支配に委ね、神に明け渡す!十字架の主イエスの祈りは、最後はそういう祈りでした。

 ここから分かりますように、祈りによる神との交わりは、御霊の導きの下に、私たちの信仰を徐々に整え、天の御父の清い御心へと必ず高めます。実際、祈りによる神との交わりは、不安定な私たちの信仰を整え、強め、成長させ、必ず私たちに神の恵みを体験させます。何と感謝なことでしょうか。

 そこで、この恵みに与るために、第一に、祈りが神との交わりであることをしっかり自覚したいと思います。私たちは、自覚の薄いまま、何となく祈ることもあるのではないでしょうか。しかし、それでは神が折角ご用意下さっている霊の祝福に与れません。ヤコブ4:8が「神に近づきなさい。そうすれば、神はあなた方に近づいて下さいます」と言うように、神は私たちの自覚を重んじ、私たちの自覚に対して喜んで応答されます。神と交わるという自覚を持って祈りたいと思います。

 第二に、祈りが真に神との交わりとなるために、神に心から語りかけたいと思います。「天の神様」と口で唱えるだけでなく、自分の全存在を挙げて心の底から神に呼びかけるのです。

 第三は、神が今、喜んで私に耳を傾け、応答し、喜んで交わろうとしておられることを覚え、それを信じて祈りたいと思います。

 第四に、神が下さった良いものを振り返って一杯思い出し、是非、感謝することから始めたいと思います。ピリピ4:6、7は「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもって献げる祈りと願いによって、あなた方の願い事を神に知ってもらいなさい」と言います。私たちがまず神に感謝し、その上で神に祈りと願いを献げるなら、神は私たちの願いを、決してイヤイヤでなく喜んで知って下さり、応答して下さいます。

 以上が、神が私たちと喜んで持って下さる交わりというものです。他にも心に留めたいことはありますが、今日はこれで終ります。

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