「ペンテコステ」
「ペンテコステ」は、一般的に五旬節と言われ、50日目の祭りという意味です。大麦の初穂を献げる日から数えて50日目に行われた(レビ記23:15以下)ことから生まれた、ギリシャ語訳のペンテーコンタ・ヘーメラスの訳語です。五旬節は、7週間経過するところから、「7週の祭り」とも呼ばれていました(出34:22、申命記16:10)。立ち穂に鎌が入れられて始まった大麦の収穫の終わりを意味し(申命記16:9)、いよいよ小麦の収穫となるのです(出エジプト34:22)。そのため、「刈り入れの祭り」(出エジプト記23:16)、「初穂の日」(民数記28:26)と呼ばれています。この祭りは、除酵祭、仮庵の祭りと並び、旧約時代の3大祭りの一つとして(申命記16:16)、ソロモン王の時代にも守られていました。その日は労働は一切してはならず、聖なる会合が開かれて、イスラエル人の男子は皆、神様の前に出ることが義務付けられていました。
時は移り、新約聖書の時代になると、「過越しの祭り」から50日目に、エジプトからの解放と小麦の収穫を覚えて五旬節は祝われていました。この日に聖霊が降られたのです。復活の主に出会いながらもエルサレムに留まり、父なる神から約束されたものを待ち続けて(使徒1:4)、エルサレムの二階座敷で心を一つにして祈っていた弟子達に、聖霊が降られたのです(使徒2:1-13)。それはまた、イエスの復活からちょうど50日目の日曜日でした。そこで教会はこの日を、「聖霊降臨祭」として祝うようになりました。この日は、教会の誕生日とも呼ばれています。なぜなら、この日から神の救いの収穫の時代が始まったからです。
イエスの死後、打ちひしがれていた弟子達は、復活のイエスに出会い、聖霊が降られて後、見違えるように力強く福音を宣べ伝え、最後は殉教の死まで遂げました。ユダヤ人の迫害を恐れ、力を失っていた弟子達を変えたもの、それはペンテコステの日に降られた聖霊御自身でした。聖霊に満たされて歩むことが、信仰生活の祝福の一つの鍵です。