葬儀についての心構え(クリスチャン向け) 


クリスチャンの死生観は一般と比較して大きく違います。
一般の人にとっての死は 未知な世界、恐怖、苦しみとなりますが
クリスチャンにとっての死は未知数ではなく主イエス様が約束してくださった場所、
主イエスの元へ帰れると言う喜びが伴います。
もちろん死の苦しみは避けられませんが、それを越えた希望があるのです。
ですからキリスト教式葬儀は他の宗教と違い神礼拝が中心となり、一般的な葬儀とは
大きく異なります。

以前、日本キリスト改革派横浜教会:執事会で作成した葬儀の手引きがありますが
お許しをいただいて掲載させていただきます。
キリスト教葬儀を行う上で大変参考になると思います。
横浜教会用に作りましたので一部一般用に合わない部分もあります。


       葬儀についての心構え

 キリスト教葬儀の目的は、神への礼拝、遺体の葬り、地上に残る者への慰めです。

従って、死者のための祈り、供物、また死者への語りかけなど、異教的風習を
排除する事が大切です。

 主イエスは、ラザロの死を嘆き悲しむマルタに向かって、言われました。

「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。
生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。
このことを信じるか。」(ヨハネ 11:25-26)

 また、使徒パウロは、復活の体について語っています。
「わたしはあなたがたに神秘を告げます。わたしたちは皆、眠りにつくわけでは
ありません。わたしたちは皆、今とは異なる状態に変えられます。最後のラッパが
鳴るとともに、たちまち、一瞬のうちにです。ラッパが鳴ると、死者は復活して
朽ちない者とされ、わたしたちは変えられます。」(コリント一 15:51-52)

そして、黙示録はこう述べています。
「書き記せ。『今から後、主に結ばれて死ぬ人は幸いである』と」(黙示録 14:13)

 このように、主にあって死ぬ者の慰めと幸福を思うとき、残された者がいたずらに
嘆き悲しむ理由はもはや無いと言うべきであります。

1.死去に際して

 ・横浜教会の会員が死去した場合は、すべて教会において葬儀を執行できます。
  会員でなくても、また未信者であっても(例えば教会員の家族等)、
  遺族の希望により、小会が許可した場合は、牧師が司式して、教会で葬儀を
  執行できますので、牧師と相談してください。

 ・危険な状態に入ったならば牧師との連絡を密にしてください。

 ・故人が未信者の場合、前夜式、葬儀等をキリスト教でするかどうか決めます。

 ・できるだけ早く、遺族、牧師、葬儀社の三者で打ち合わせの会合を行います。

  打ち合わせにおいては、次の様な事項を決めます。

   ○遺族代表者(喪主)○諸儀式の日時、場所 ○棺や祭壇規模、費用 ○死亡届
   ○写真、献花の有無 ○通知、式プログラム、印刷手配、
会葬御礼、接待(飲食)
   ○霊柩車、その他の車の手配

 ・葬儀委員長を設ける場合は牧師、遺族が相談し決めます。また上記の三者の
  打ち合わせに加わる事もあります。

 ・葬儀社には当方がキリスト教プロテスタントである事を、初めにはっきり告げておきます。
  適当な葬儀社が分からない時は教会で、ご紹介します。

 ・式の手順を教会側に任せるかどうか決めます。しかし教会側に任せる場合、
  教会は宿泊や食事の世話はしません。

 ・葬儀の時間は火葬場の都合により決まる場合もあります。

 ・献体などで遺体が無い場合でも、葬儀の執行は可能です。

 ・葬儀は納棺された遺体、または火葬された遺骨を迎えて行う2つの場合があります。

 ・病院で死亡した場合は、納棺する棺(柩)は現地で調達することも多いのですが、
  その病院に入っている葬儀社に以後いっさいの世話を依頼するのか、それとも棺と
  寝台車(遺体を自宅へ運ぶため)だけに限定して頼むのかを即座に決めなければなりません。

 ・葬儀にともなう教会関係の諸費用(施設使用料、司式謝礼、オルガニスト謝礼、
  記念献金、その他)については、牧師、または執事におたずねください。

 ・いわゆる冠婚葬祭互助会に入っておられる方は、初めに申し出てください。
  教会としては実際の費用面、制約等の面で加入はおすすめできません。

2.前 夜 式

 ・前夜式は、死亡の日の夜、または葬儀の前夜に行われ、牧師が司式を執り行い、
  主として近親者が集まります。

  公的な葬儀を2回行うような形になることは好ましくありません。

 ・前夜式後、親しい人々が交わりの機会を持つことは適当ですが酒肴を供したり、
  徹夜(通夜)で遺体を見守る必要はありません。

3.葬 儀 前

 ・いわゆる「祭壇」と言う語はキリスト教では、聖餐を執行する「主の食卓」
  を指します。
  したがって棺または遺骨を安置する台は、祭壇ではないのですが、便宜上
  そう呼ぶことも止む得ないでしょう。

  段数や飾り方、費用は、打ち合わせの時に相談します。但し、決めた後の変更は、
  ほとんどできません。

 ・忌中札、きよめの塩、ローソクは不要です。故人の写真も絶対必要というものでは
  ありません。
  もし写真を飾る場合も正面におくと、礼拝の対象になる恐れがありますので、
  別の場所、例えば入り口を入った適当な所におくのが良いでしょう。

 ・盛花、生花を贈ってくださる方がある場合には、式の時は贈主の名札を全て取り外します。
  また花輪、供物等は教会では受け付けません。万一贈られても拝辞させていただきます。
  あらかじめ、関係者に諒解していただいてください。

 ・教会では異教的風習である献花は、原則としていたしません。

4.葬 儀

 ・葬儀は、神を礼拝し、遺族を慰め、故人に礼をつくし、葬りの備えをすることにあります。
  故人への「供養」「慰霊」「鎮魂」ではありません。従って、焼香、死者ならびに遺骨に
  対する礼拝、死者への弔辞はおこないません。
  弔辞は遺族に対して述べるものです。むしろ故人の信仰的な思い出を語るのが望ましいでしょう。
  遺族は集まってくる親族に対しては、これらの説明をしておくことが大切です。
  自分たちでは十分に説明できないときは、牧師に説明してもらうとよいでしょう。

 ・参列することで礼を尽くしたのであり、遺族に特に挨拶する必要はありませんが、
  遺族が挨拶を受けるかどうかは、場所、時間等の状況により異なります。

5.葬 儀 後

 ・出棺式において、閉棺の際、遺族が石で釘を打つというのは、異教の風習です。

 ・教会では葬儀後の会葬者レセプション(飲食)はできません。

 ・火葬場に行く人は、肉親、親しい友人等ですが、その人数は輸送手段で決められます。
  火葬所用時間は、2時間位です。

 ・火葬場での茶菓の用意はふつう遺族側の手で行われます。教会側の手伝いが必要な場合には
  事前に申し出てください。

 ・火葬の前に「分骨」の可否をはっきりさせておくことが必要です。

 ・埋葬は、引き続いて行う場合も、そうでない場合もあります。
  40日間は埋葬しないと言った説にまどわされる必要はありません。
  後日行う場合は牧師と家族だけで行ってもかまいません。

 ・いわゆる「香典返し」は不要な習慣ですが、丁重なお礼状を出すことは大切です。

 ・キリスト教では、いわゆる「○○日祭」「○回忌」などはありません。
  ただし、遺族の要望によって、適当な時期に「記念礼拝」「記念会」を行うことは
  有意義です。牧師に相談して下さい。

 ・特定宗教の墓地内に埋葬しようとする時は、必ずその宗教団体の許可を得る必要があります。

 ・故人が、横浜教会会員及びその家族で、教会共同墓地(冨士栄光墓苑)に埋葬(納骨)を
  希望する場合は、横浜教会小会、(牧師)に申し出てください。

  客員の方でも横浜教会小会の許可があれば埋葬(納骨)可能です。

 ・火葬後、必ず「埋葬許可証」を受け取り、納骨の際にはそれを持参します。

6.そ の 他

 ・キリスト教信仰の立場から不適当な用語、

  冥福、慰霊、追善、遷化(せんげ)、成仏、鎮魂、入寂(じゅうじゃく)、忌中、
  荼毘
(だび)、法要、法事、命日、幽明、供養、香典、供物、等

 ・キリスト教信徒の死は、「召天」または「被召天」といわれます。
  これは「天」(神)に召されるという意味で天に昇ったという意味ではありません。
  「昇天」と誤記しないよう注意しましょう。

                主の1994年5月22日 横浜教会