「クリスマスと七面鳥のディープな関係」
クリスマス料理と言えば欧米ではまず1番に七面鳥の丸焼きが上げられる程にディープ(深い)な関係にあります。
英国のチャールズ・ディケンズの名著「クリスマス・カロル」はクリスマスの食べ物について細かく描写されておりますが、七面鳥についても以下のように描写されている部分があります。
「それは自分の部屋であった。それに毛頭疑いはない。ところが、それが驚くべき変化を来していた。四方の壁にも天井にも生々した緑葉が垂れ下がって、純然たる森のように見えた。その到るところに、きらきらとした赤い果実が露のように燦めいていた。柊や寄生木や蔦のぱりぱりする葉が光を照り返して、さながら無数の小形の鏡が散らかしてあるように見えた。スクルージの時代にも、マアレイの時代にも、また幾十年と云う過ぎ去った冬季の間にも、この化石したような冴えない煖炉がついぞ経験したことのないような、それはそれは盛んな火焔が煙突の中へぼうぼうと音を立てて燃え上っていた。七面鳥、鵞鳥、猟禽、家禽、野猪肉、獣肉の大腿、仔豚、腸詰の長い巻物、刻肉饅頭、プラムプディング、牡蠣の樽、赤く焼けている胡桃、桜色の頬をしている林檎、露気の多い蜜柑、甘くて頬の落ちそうな梨子、非常に大きなツウェルブズ・ケーク、ポンス酒の泡立っている大盃などが各自の美味しそうな湯気を部屋中に漲らして、一種の玉座を形造るように、床の上に積み上げられていた。この長椅子の上に、見るも愉快な、陽気な巨人がゆったりと構えて坐っていた。」
(青空文庫クリスマス・カロルより抜粋)
このようにクリスマス料理のトップに七面鳥が上げられています。(このあと改心したスクルージは雇人ボブ・クラチット一家にその年の賞を取った巨大な七面鳥をプレゼントするのですが、それは本文をお読み下さい)
日本では七面鳥ではなくチキンが主流になっておりますが、欧米では日本のおせち料理にお雑煮があるように、クリスマスの家庭料理と言ったらまず七面鳥が上げられるようです。
ではヨーロッパにおけるクリスマスと七面鳥料理の関係はいつごろ始まったのでしょうか。
これが意外と歴史が浅いのですね、1620年メイフラワー号でアメリカに移り住んだピューリタン(清教徒)が、初めての収穫祭のときに食べたのがアメリカ大陸原産の野生の七面鳥の肉だったそうで、これがヨーロッパに伝わり、クリスマスに七面鳥を食べる習慣になったと言われています。
昔はお殿様やお金持ちはクリスマスには鵞鳥(Goose)を食べました。庶民は高価な鵞鳥なんて手が出ず、鶏(これも昔は大変貴重品でした)を楽しみにしてたのですが、いかんせん小さくて大家族には不向きでした。そこで安くて大きい七面鳥に白羽の矢が当たったとの事だそうです。
ディープではなくチープ(安物)な関係だったと言うオチです。
落としっぱなしでは申し訳ありませんので七面鳥の丸焼きのレシピをお教えしましょう。
ローストターキー(七面鳥の丸焼き)レシピ
<材料>
・ターキー(首、足を除いた丸ごと)・・4.5kg(※1)
・バター・・・・・・・・・・・・・・・100g
・レモン・・・・・・・・・・・・・・・1/2個
・塩・粒こしょう・・・・・・・・・・・適量
・スタッフィング(※2)
(グレービー・ソース)
・内臓
・クローブ・・・・・・・・4粒
・玉ねぎ・・・・・・・・・1個
・セロリ・・・・・・・・・・2本
・にんじん・・・・・・・・1本
・小麦粉・・・・・・・・・大さじ1
・スープストック・・・・・600cc
・白ワイン・・・・・・・・大さじ3
※1)焼き時間の目安として、
3.5〜5.5Kg:3〜3時間30分
6.5〜8.0Kg:4〜4時間15分
9.0〜11 Kg:4時間30以上
スタッフィングなしの場合はこれよりも短めです。
※2)ターキーのおなかに入れる詰め物。(入れない場合もあります)
パン、くるみ、栗、アプリコット、レーズン、クランベリー、玉ねぎなどで、
各家庭でオリジナルのレシピがあるようです。
<作り方>
1.ターキーはぬれ布巾できれいに拭いて、首とおしりのところからおなかに好みの
スタッフィングを詰める。オーブンは220℃に温めておく。
2.アルミホイルを軽くかぶせてオーブンに入れ、20分後に温度を180℃に下げる。
3時間半程調理する間、20分おきに残りのバターとベーキング・パンに出てきた汁をはけで塗る。
3.アルミホイルを取り除き、温度を200℃に上げる。皮が黄金色になるまで(または肉が完全に調理されるまで)
そのままオーブンで焼く。(だいたい30分)完全に調理されたら、温かい皿に移す。
肉汁はグレービーに使うのでとっておく。
(グレービー・ソース)
4.玉ねぎは4つ切りにしてクローブをさし、セロリとにんじんはスライスする。
5.鍋に野菜類と内臓、スープストックを入れ、弱火にかける。
沸騰したら丁寧にあくを取り除いて蓋をし、1時間程煮る。
6.ベーキング・パンに残った肉汁の脂を取り除き、6の鍋に加える。
小麦粉を少しずつ加えながらかき混ぜ、とろみがついたらワイン、塩・こしょうを加えて味を整える。
以上、さあ今年のクリスマスは七面鳥の丸焼きに挑戦!!